納税者の「志」に応え、地域を元気にする「ふるさと納税」

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最終更新日: 2016年7月7日

納税額が大きく増加

  「ふるさと納税」に関する調査結果が6月に総務省から公表されました。2015年度の全国の寄付件数は726万件と前年度に比べ3.8倍に増加しました。また、寄付額は前年度比4.3倍の約1,653億円となり、件数、寄付額ともに前年度を大幅に上回りました。
  「ふるさと納税」制度は、税制を通じてふるさとに貢献する仕組みの1つとして導入されました。その意義として、総務省は以下の3つを挙げています。1つは「納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること」、2つに「生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域や、これから応援したい地域への力になれる制度であること」、3つに「自治体が国民に取組をアピールすることで、選んでもらうに相応しい地域のあり方を改めて考えるきっかけとなること」です。
  そして、納税者と自治体が、お互いの成長を高めるための新しい関係を築いていくことや、自治体は納税者の「志」に応えられるよう施策の向上を進める一方で、納税者は地方行政への関心と参加意識が高まること、自治体と納税者の両者が共に高め合う関係ができることで一人ひとりの貢献が地方を変え、全国のさまざまな地域に活力が生まれていくことが期待されています。 

長野県への納税額は前年度の5倍に

  長野県のふるさと納税の受入額は104億56百万円と北海道、山形県に次いで3番目、受入件数では31万8,889件と北海道、山形県、宮崎県、佐賀県、静岡県に次ぎ6番目となっています。全国の中でも受け入れが多いことが分かります。
   総務省の調査によれば、全国で受入額や件数が増加した主な理由(複数回答)として、「返礼品の充実」を挙げた自治体が1,017団体(56.9%)と最も多く、「ふるさと納税の普及、定着」が999団体(55.9%)と続いています。もっとも、最近は行き過ぎた返礼品や宣伝競争に対し、批判的な意見も増えています。実際に募集や受入等に伴う経費は全体で約793億円に上り、これは寄付額の47.9%に当たるため、「返礼品競争」の感は否めない部分もあります。ただ、各自治体にとっては、返礼品に使う経費を除いてもふるさと納税の受入額は大きく、これらを活用した事業が進められています。

期待に応えられる使いみちを

    2015年度、16年度のふるさと納税を活用して実施した事業を尋ねたところ、最も多かったのが「教育・人づくり」で、このほか「子ども・子育て」、「健康・医療・福祉」が上位となっています。また、募集する際に9割の自治体でその使いみちが選択できるようになっており、このうち77.2%が「分野」まで選択できるようになっています。ただ、具体的な事業までを選択できる自治体は、1割程度にとどまっています。寄付した人の思いがより具体的な事業に反映されることも重要と思われます。
   本制度の意義に掲げられた納税者の「志」に応えられる施策のほか、地方行政への参加意識を高めてもらうためにも、ふるさと納税を活用した施策やその実績などの情報を還元していく必要があります。
   今年度は新たに「企業版ふるさと納税」も実施されます。各自治体が国に地域再生計画を申請し認定された施策に共感した企業が寄付を行うものです。企業の「志」が反映される施策を実施していくことで地域の活性化につなげていくとともに、こうした企業との関係を継続的に構築していくことが期待されます

 

(初出:2016年7月7日付 南信州新聞「八十二経済指標」)

 

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