挨拶から始めよう<2016.05.18>
ゴールデンウィークが明け、新社会人の皆さんは実質的な新生活をスタートされたことと思います。社会人となり、やるべきことは山のようにありますが、まずは「明るく元気なあいさつ」が大切になります。当たり前のことのようですが、今回はあいさつの重要性について考えてみたいと思います。
あいさつはコミュニケーションの入り口で、基本となるものです。すれ違っても黙ったままでは、人間関係は築けません。一声かけることで、関係はぐっと近づきます。あいさつはそのためのうってつけのツールです。
人は誰でも他人から存在を認められたいという欲求を持っています。あいさつが「私はあなたを尊重しています」という気持ちを伝えてくれます。仕事をする上での信頼関係を築く第一歩と言えましょう。
さらに、新入社員の場合には、組織の一員として自らを知ってもらう必要があります。進んであいさつをすることで、職場の先輩や同僚にチームの一員として認めてもらえるでしょう。朝は「おはようございます」、仕事を教えてもらったら「ありがとうございました」、ものを頼みたいときなどは「失礼します」、迷惑を掛けてしまったら「すみませんでした」。あいさつの基本の「オアシス」と言われる四つですが、きめ細かにあいさつをすることで自らを認めてもらえると同時に職場も元気になります。
一方で顧客との間でも、コミュニケーションが重要なことは言うまでもありません。企業は顧客の望む製品やサービスを提供することで存続しています。その際、顧客の要望をしっかりと把握していくためのコミュニケーションが不可欠となります。その入り口も、やはりあいさつです。あいさつもそこそこに商談に入るようでは、顧客のことを本当に考えているとは思ってもらえないでしょう。
当研究所の県内企業の調査でも、高いシェアを獲得し、好業績をあげている企業の共通点として、「顧客との優れたコミュニケーションにより、相談・要望にしっかりと応えている」点が明らかになっています。これらの企業は、顧客をよく見て困った点を探し、顧客の要望をよく聞いて課題を理解して、それらに対して自社の高い技術・サービスで応えています。
これからの変化の激しい時代、顧客からの要望も大きく変わっていきます。その際に、変化する顧客ニーズを捉え、応えていく企業でなければ生き残ることは難しいと思われます。それを支えるのが、しっかりとあいさつができ、顧客とのコミュニケーションが図れる人材なのではないでしょうか。
新年度のスタートにあたり、新入社員のみならず、我々自身が「あいさつができているだろうか」と自らを振り返ってみる必要があるのかもしれません。
(初出)朝日新聞平成28年5月18日朝刊「けいざい応援通信」『あいさつが企業を元気に』
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