気になる消費マインドの行方

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最終更新日: 2016年4月11日

比較的良好だった昨年末までの消費マインド

   当研究所は県内消費者を対象に1月と7月の年2回、「消費動向調査」を行っています。消費動向について、16年1月に実施した直近の半年間(2015年7月から12月まで)の消費動向の結果がまとまりましたので、概要をお知らせします。
 今回の調査では、消費マインドを示す「支出DI」(DI:「増加」割合-「低下」割合)のほか「収入DI」、「耐久消費財DI」、「暮らし向きDI」のいずれも前期(2015年1月から6月まで)に比べ改善しており、昨年末までの消費マインドは比較的良好であったことがうかがえます。こうしたマインドの改善にはいくつかの要因が考えられます。 

緩やかながら収入は改善

  1つは、この半年間で賃金や賞与水準といった収入面が改善したことが挙げられます。長野県が実施した2015年の「春季賃上げ要求・妥結状況調査結果」によれば、平均賃上率は 1.77%と前年同期を0.21ポイント上回りました。また、「賃金実態調査」でも、所定内賃金が前年比+1.2%と増加したほか、年末一時金についても平均妥結額が前年同期を上回るなど、収入面は緩やかな改善傾向にあったことがうかがえます。
 また、昨年は野菜などの生鮮食料品を中心に相場高が続いていましたが、年末にかけ落ち着いたことや、原油価格の低下に伴いガソリンなどの燃料価格の低下もプラスに働いたことも要因として挙げられます。県の調査では、ガソリン1ℓ当たりの価格が昨年の夏場の140円台から今年1月には120円台前半まで低下しました。また、12月の暖冬により冬期の暖房費が抑えられたことも家計や暮らし向きを改善させることにつながったものと思われます。

プレミアム商品券なども消費を下支え

   こうした収入増や燃料価格の低下など家計へのプラス要因は、支出DIの改善に繋がったと考えられますが、加えて「プレミアム商品券」の利用が下支えしていたこともうかがえます。
 アンケート結果の支出内容をみると、支出が増加した理由として「新商品など欲しいと感じるものが出てきた」という回答が前回に比べ増加しています。具体的な商品としては、日用品のほか家電製品を挙げる回答が数多く見受けられました。これは自治体が発行したプレミアム商品券が契機となり、これまで家電製品の買い替えに踏み切れなった世帯を含め、新機能の付いた商品などの買い替え需要を生み出し、昨年後半の県内消費を下支えしたものとみられます。 

年始から大揺れした金融市場

 このように改善傾向をみせている消費マインドですが、年明けからの金融、為替市場の不安定な動きが陰を落としています。ちなみに全国の先行きの消費者マインドを示す今年1月の消費者態度指数は4か月ぶりに低下しました。また当研究所のアンケート調査でも、今年上半期の見通しはいずれの指標でも悪化の予想となっています。
 現在の金融市場の変動は、中国経済の低迷や米国経済の変調に対する疑心暗鬼、日本のマイナス金利政策など複数の要因が絡み合ったものと考えられますが、今後の消費マインドの行方を考える上で、今春のベアなどの所得面とともに、その影響にも注目していく必要がありそうです。

 

 

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