増加する夏季の国内旅行需要を長野県内に

県内主要産業の天気図は横ばい

 当研究所は、四半期ごとに業況を調査する目的で県内企業約160社を対象に「産業別四半期見通し調査」を実施しています。今回はその調査結果についてご案内します。
本調査はアンケート調査とヒアリング調査をもとに県内産業の「現況」や「見通し」を天気マークで表しています。「晴れ」は「(好調)」、「薄日」は「(順調)」、「曇り」は「(普通)」、「小雨」は「低調)」、「雨」は「(不調)」としています(図表)。
  4-6月期の現況は、「晴れ」が1業種、「薄日」が5業種でしたが、7-9月期の見通しについては「晴れ」がゼロとなり、「薄日」が5業種となりました。産業別にみると、製造業の中で現況と見通しがともに「薄日」なのが「工作機械」、「電子部品・デバイス」、「プラスチック製品」の3業種です。国内や北米を中心とした海外における設備投資の堅調な需要に加え、自動車やスマートフォン向け部品の需要増加が期待されています。国内の設備投資は持ち直しの動きがみられますが、工作機械ではこうした堅調な需要に加え、政府の投資促進策である「ものづくりサービス補助金」を活用した企業の設備投資の増加が期待されています。
 非製造業の現況は「晴れ」が「ホテル旅館」、「薄日」が「機械器具卸」、「旅客」です。見通しでは「晴れ」が無くなり、「薄日」は「機械器具卸」と「ホテル、旅館」の2業種となります。4-6月期の「ホテル・旅館」は、善光寺御開帳の開催が長野地域のみならず中信地域や南信地域の一部にも宿泊需要をもたらし、「晴れ」となりました。7-9月期の見通しは、御開帳による誘客効果の剥落によりやや下降となりますが、天気は「薄日」にとどまっています。
 

夏季の旅行需要に期待

 ホテル・旅館」が7-9月期にも順調な背景には国内旅行者数の増加期待があります。大手旅行会社JTBが発表した夏休みの旅行動向調査によれば、今夏は円安の影響を受け海外への旅行者が減少する一方、国内旅行者数は前年を上回り、過去2番目の水準となる見通しです。また9月の大型連休もあり、さらなる観光需要の増加が予想されています。
 今年4月から全国で販売されている「ふるさと旅行券」も地域への旅行需要喚起に貢献しています。長野県でも6月から発行され既に完売されており、夏季需要の増加につながっていると考えられます。そして9月からは第二弾となる旅行券の発売も予定されています。県外からの旅行者を取り込むことはもちろんですが、県民の方による活用を促すことも重要です。
 県内に住んでいてもまだ訪問したことのない土地をめぐり、改めて県内観光地の良さを再発見することで、夏から秋にかけての景気も「晴れ」ていくものと期待されます。

(初出:2015年8月7日付 南信州新聞「八十二経済指標」)。

2015年8月7日 

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