善光寺御開帳の効果

7年に一度の御開帳の効果

 今年は、7年に一度の善光寺御開帳の年です。4月から長野市の善光寺とともに飯田市の元善光寺でも開催されます。前回の2009年には長野市の善光寺で4月5日から5月末までの約2カ月間で673万人が来訪しました。長野県全体の同期間の観光地延利用者数が約1,918万人ですから、善光寺に如何に多くの方が訪れたのかが分かります。善光寺の参拝者数は増加傾向にあり、80年代と比べると3倍にまで増加しています。善光寺が全国から親しまれ、御開帳が人を引き付ける大きなイベントになっていることがうかがえます。
 では、善光寺御開帳は、県内の各地域にどのくらい影響を与えているのでしょうか。過去3回(1997、03、09年)の開催期間中(4~5月)の観光客動向について、長野県が公表している観光統計調査をもとに、前年と比べた観光客数の変化をもう少し詳しくみてみたいと思います。

観光客数の増加は周辺地域にも波及

 まず、長野県全体では、前年の同時期(4~5月)と比べると、いずれの年も35~45%の大幅な増加となっています。さらに県内10地域別でみると、善光寺のある長野地域では同150~190%の増加、元善光寺(飯田市)のある下伊那地域でも同35~40%台の増加となっており、善光寺の所在する地域で増加率が高くなっています。また、長野地域の周辺である北信や上小地域でも最近では前年比でプラスに転じるなど、観光客の取り込みが進んでいることがうかがえます。

重要な観光の広域連携

 直近の09年の御開帳は過去2回に比べ、観光客数が大きく増加しました。この増加要因の1つとして他地域の善光寺御開帳も同時開催されたことが考えられます。特に前回からは、県内外の6つの善光寺(善光寺(長野)、元善光寺(飯田市)、甲斐善光寺(甲府市)、善光寺東海別院(愛知稲沢市)、岐阜善光寺(岐阜市)、関善光寺(岐阜県関市)で同時に御開帳が行われ、大きなPR効果があったと言われています。
 今回も同じ6つの善光寺で御開帳が行われるほか、今年は新たに同時開催する寺院も増えるようです。
また、このほかに北陸新幹線の開通、5月の大型連休の日並びの良さも観光客の増加に繋がることが期待されます。こうした好条件を一層地域経済に波及させるためにも、地域間が連携し、参拝客の県内の周遊を促す企画やイベント開催し、県内観光を盛り上げていくことが求められます。

(初出:2015年3月11日付 南信州新聞「八十二経済指標」)。

2015年3月11日

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