期待される介護支援ロボット開発への取り組み
国がロボット介護機器の開発・実用化に係る重点分野を公表
平成24年7月に閣議決定された「日本再生戦略」では、医療・介護・健康関連産業の成長促進策となる「ライフ成長戦略」の重点施策の一つとして、「ロボット技術による介護現場への貢献や新産業創出/医療・介護等周辺サービスの拡大」を掲げています。この中で介護ロボットの導入台数を2015年度には1,000~5,000台に拡大することを中間目標としています。
こうした国の動きを受けて厚生労働省と経済産業省は11月22日、「介護支援ロボット」の開発重点分野を発表しました。ロボット介護機器の開発・実用化に係る重点分野は、以下の4分野5項目となっています(図表)。2013年度予算の概算要求で、開発費などへの費用の一部助成を検討しており、来年度以降、重点分野への開発支援を行なう予定です。
重点分野では、具体的には、お年寄りをベッドから車椅子に移動させる際に抱え上げるロボットや、施設に入所する認知症高齢者の出入りを見守るセンサーなど、ロボットの開発を後押しするものです。
また今回公表された分野以外でも支援分野を検討していく見通しであり、自民党政権になっても、こうした取り組み方針に大きな変更はないとみられます。
新たなビジネスの可能性が広がる介護分野
日本の大きな課題であり、これまで取り組みが遅れていた介護の現場に、国は本腰を入れて介護ロボットの導入を加速しようとしています。経済産業省の試算では2015年には167億円に過ぎない市場が2035年には4,043億円にまで成長するとみています。近い将来には、中国などのアジア地域でも高齢化が進み、世界規模で市場が拡大していくものと予想されます。
こうした中で、長野県の企業では、見守り支援などで得意なセンサー技術などの活用が期待されますが、国の支援に向けた動きに対してアンテナを高くし、介護ロボット分野に係る次世代技術を担っていくことを期待したいと思います。
ロボット介護機器の開発・実用化に係る重点分野
分野 | 項目 |
1.移乗介助 | ロボット技術を用いて介助者のパワーアシストを行う装着型の機器 |
ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器 | |
2.移動支援 | 高齢者等の外出をサポートし、荷物等を安全に運搬できるロボット技術を用いた歩行支援機器 |
3.排泄支援 | 排泄物の処理にロボット技術を用いた設置位置の調整可能なトイレ |
4.認知症の方の見守り | 介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム |
2012年12月28日
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