懸念される長野県の景気後退局面入り
後退局面入りを示唆する景気指標
内閣府が公表した2012年7-9月期の実質国内総生産(GDP)は3四半期ぶりにマイナス成長に転じました。また、景気動向指数(一致指数)は、今年3月頃をピークに低下傾向にあります。そのため日本経済は既に春以降、景気後退局面入りをしているのではないかと指摘する声が増えてきています。
正式な景気の後退局面入りの判断は内閣府で開かれる景気動向指数研究会で判定されことになりますが、景気動向指数の一致指数をもとに現状の経済情勢が続くという一定条件のもとで試算すると、半数以上の指標が既にピークをつけており、景気の後退局面入りを示唆する内容となっています。
長野県景気も後退局面入りか
こうした中、長野県の足元の景気の現状はどうでしょうか。今月20日に公表された9月の鉱工業生産指数(速報値)は、前月比で3カ月連続の減少となりました。また7-9月の四半期では2四半期連続で減少し、前期比では▲7.0%とリーマン・ショック以来の大幅な落ち込みとなりました。
弊所で作成している長野県の景気動向指数をみても、全国同様に春以降、一致指数の下降が続いています。長野県でも後退局面入りが濃厚となっています。
なお、今後の各指標の山・谷の正式な判定は、全国同様に生産指標の基準改訂や季節調整替えなどの影響を待たねばならず、正確な景気の転換点の判断は1年後になります。
来年半ばの景気回復に期待
全国のこれまでの後退期間は平均16カ月となっており、今年春以降、後退局面に入ったとすれば、景気循環の観点からは次の回復期に入るのは来年の半ば頃と考えられます。また長野県の後退期間については、全国に比べ3カ月程度長くなっています。したがって長野県で景気回復の実感が広がるのは来年の後半ということになりそうです。
来年の景気を見通す上でのリスク要因として、各シンクタンクは、米国の「財政の崖」問題や欧州の債務問題などを挙げています。こうした問題がさほど深刻化しなければ、景気循環のサイクルが示すとおり、来年前半から半ば頃には持ち直しに向かうでしょう。
2013年の日本経済を展望すれば、外需に揺さぶられる不安定な状況が続くことが予想されます。年前半は外需が持ち直すものの、回復に向けた動きは鈍く、日本の輸出も緩やかな持ち直しにとどまるとみられます。ただ後半には消費税引き上げ前の駆け込み需要の増加などから、個人消費や住宅投資など内需が持ち直しに向かうことが予想されます。
景気回復を確かなものにするためには、国内の政治の安定はもちろん、政府が掲げる新たな成長戦略を推し進め、その成長産業を担う地方企業や地域への支援拡充のほか、企業が十分に力を発揮できるような規制緩和策が打ち出されることを期待したいと思います。
2012年11月27日
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