対応が急がれる地域の公共施設の更新問題

インフラの更新費用は小規模自治体で負担大

 高度経済成長期に投資したインフラが2020年以降更新期を迎え始めます。
総務省では今年3月に「公共施設及びインフラ資産の将来の更新費用の比較分析に関する調査結果」をまとめました。これは全国のインフラの現状と更新に伴う財政的な影響を把握するため、全国の111の市区町村に対し、試算ソフトを使い、今後40年間に掛かるインフラ更新費を算出したものです。
 試算結果によると、今後40年間に必要な更新費は、国民1人当たりで年間約6万4,000円となります。また、自治体の規模別では政令市で6万2,000円となりますが、人口1万人以下の自治体では23万8,000円と政令市の約4倍近い金額となり、負担がかなり大きくなっています。

地域の住民の認知度は低い

 こうした社会資本の老朽化の問題について、住民はどの程度理解しているのでしょうか。
平成24年の国土交通白書に掲載された「国民意識調査」によると、インフラの老朽化問題について「知っていた」という回答割合は、全体の29.8%と3割にとどまっています。こうした問題について、住民への十分な情報が行き届いていないことがうかがえます。
 また、老朽化した社会資本への対応として「施設の更新が必要」との回答が約6割(61%)を占めており、そのために重要なことでは「実態把握(見える化)」という回答割合が最も多くなっています。

まずは現状の実態把握を

 維持管理・更新費の不足で地域のインフラの十分な維持管理できなければ、住民生活へさまざまな影響が懸念されます。県内の自治体ではこうした問題について、十分な議論はなされているでしょうか。
 アンケート結果にもあったように、まずは地域の資産や将来の負担の大きさなどを「実態把握(見える化)」する必要があると思われます。
 県外の自治体では公共施設の「白書」を作成し、住民自身の課題として「見える化」を実施している事例もあります。こうした中、長野県では県有財産の利活用について昨年12月に基本方針を定めています。
 今後、地域の方向性を判断する上で十分な議論も必要になると思われます。地域住民への財政面の負担など将来の地域を維持していく上での優先的に対応していく課題の一つなのではないでしょうか。

2012年8月30日 

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