長野県ものづくり産業振興戦略プランのご案内(2012.04.03)
長野県ものづくり産業振興戦略プランが始動
長野県では、2007年3月に「長野県産業振興戦略プラン」を策定し、2011年度までの5年間、世界市場へ飛躍する長野県産業の構築を目指してきた。その後継プランとして4月から5年間、産業のけん引役である製造業を中心に据えた「長野県ものづくり産業振興戦略プラン」を策定し、次世代産業の創出を目指す。
私も本戦略プラン策定には委員として関わったので、この戦略プランを紹介したい。
長野県ものづくり産業振興戦略プランの概要
「長野県産業振興戦略プラン」では、新興国の追い上げが激しい中、長野県製造業の目指すべき方向として、次世代産業としての成長が期待される「健康・医療」「環境・エネルギー」「次世代交通(電気自動車など)」の3分野を掲げ、長野県製造業を電気・電子・情報分野等に特化した富士山型の構造から八ヶ岳型の構造転換を図る。そして、開拓すべき市場としては、成長著しいアジア新興国市場を有望市場と定め積極的に販路開拓を進めるとしている。
この中で「健康・医療」分野では県内で既に、医療機器関連産業分野に関する支援が始まっている。
長野県では、信州大学医学部内に国の補助金により「信州大学メディカルシーズ育成拠点」を設け、最新の医学的解析機器を整備した。そこで信州発医療機器を開発するため、信州大学医学部付属病院の現場で必要とされる医療機器ニーズを専門のコーディネーターが地域の企業とつなぎ、商品化しようとする仕組み・試みが始まっている。地域の企業の組織としては、地元の製造業を中心に「信州メディカル産業振興会」が結成されており、80余の企業の他、大学、行政、金融機関、個人な約130の団体・個人が参加している。是非、医療機器分野に関心のある県内企業は信州メディカル産業振興会に参加するなどこの支援策を活用されたい。
また、県内製造業の最近の動向として、単なる下請型企業から提案型や研究開発企業に変わっていきたい意向が強い。戦略プランでも「未来を拓く次世代産業の育成」を目指しているが、そのためには研究開発型の企業が増える必要がある。そこで、長野県工業技術総合センターに次世代産業技術開発推進本部を設置して、成長期待分野である「健康・医療」「環境・エネルギー」「次世代交通」などに特化して、企業の研究開発の策定から試作までを一貫して支援する体制を整備する。今まで、長野県工業技術総合センターを活用したこともない企業も、これを機会にぜひ、活用されたい。
さらに、グローバル展開についても、これだけアジア市場が広がりビジネスチャンスも拡大しているのに、どうやっていいのかわからないとする企業は多い。そこで、長野県中小企業振興センターに製造業や商社OBの海外実務経験者や語学に堪能な職員等を配置し、海外展開のための相談・助言・商談仲介等の支援を行うとしている。輸出や海外展開を希望している企業は是非、相談を。
公的支援施策をどのように考えるか
今後長野県製造業は、自ら部品や製品を開発し、提案することなくして生き残りは難しい。この時必要になるものが外部の力だ。その筆頭が本日紹介した長野県ものづくり産業振興戦略プランだと考える。
国や県、自治体は現在地域の産業を伸ばそうと多くの支援策を用意している。従って、各企業は自らの「ありたい姿」を明確にして、不足する部分については、こうした支援策から選び取る「目」が必要だ。広く国や県の支援策を知って上手く使い、未曾有の危機を乗り切っていくことが求められよう。
(2012.04.03)
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