急がれる県有老朽施設の建替・大規模改修

今後老朽化する県有施設が大幅に増加

 昨年12月に県が策定した「長野県ファシリティマネジメント基本方針」の中で示された県有財産の状況をみると、今後、長野県が保有する施設やインフラ等の社会資本が大量に老朽化していくことが明らかになりました。
例えば、県が保有する建物約9,000棟(倉庫、車庫など含む)のうち、30年以上を経過したものが全体の半数を超えています(※1980年に建築基準法が大幅に改正され、耐震基準が強化されている)。
 こうした築後30年以上を経過する施設を維持していくためには、大規模修繕や建替などの対応を検討していかなければなりませんが、更新・維持に伴う負担の増加は避けられない状況であり、厳しい財政事情の中にあって、計画的な財政支出の検討が求められます。
 長野県が県有施設の利用状況を調査したところ、施設規模に対する利用者数やコストが最適でない施設が数多くあることが明らかとなりました。県ではこうした調査を踏まえ、今後の方向性として「縮小検討」、「長期寿命化」「効率的活用」の3つに分類しています。
 調査対象1,569施設(県営住宅は除く県有建物、県が借用している建物)のうち、利用度が低く維持管理費負担の大きな「縮小検討」施設は全体の10.2%にとどまっています。一方、利用度が高く、老朽化が進んでいないため将来に渡って利用していくことが望ましい「長寿命化」施設は38.3%となっています。

今後10年間で県有施設の建替、大規模改修に必要な費用は1,632億円

 県では、こうした県有施設のうち今後10 年間で建築経過年数が50 年を超える施設を「建替施設」、また30 年を超える施設を「大規模改修施設」として、特に建替及び大規模改修が必要な施設の費用を試算したところ、総額は1,632億円に上りました。
 年平均で約163億円という費用を賄うためには、毎年の予算化が必要となりますが、平成23年度県施設課の改修等の予算は77億円にとどまっており、現在の予算額水準では半分以上の施設の建替、大規模改修ができない状況となります。
 道路、橋梁、河川など建物以外のインフラも含めればさらに費用は増加し、財政状況によっては維持・更新が進まず、住民生活に支障をきたす恐れもあります。
 このため、県では冒頭紹介した「ファシリティマネジメント」のような新たな経営管理手法を取り入れ、県有施設の量や質を最適化するとともに、長寿命化を図りながら財政負担を減らしていく方向性を打ち出しています。
今後、県のみならず市町村でも、こうした長期的課題への対応が求められると思われます。

2012年1月17日 

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