今夏の旅行事情 ~期待される避暑地「信州」~

震災後に落ち込んだ外国人旅行客

 震災直後の消費自粛の影響を受け国内の観光客数は大きな落ち込みをみせましたが、特に際立ったのが外国人観光客数の落ち込みでした。日本政府観光局(JNTO)が公表した4月の訪日観光客数は、108,820人と前年同月比81.9%の大幅な減少となりました。
 こうした中、政府では訪日旅行の安全性をアピールするため、海外の一般消費者や旅行関係者、報道関係者に対して日本の現状に関する正確な情報の発信、訪日旅行の商品化支援、取材支援などを行っていますが、当面は厳しい情勢が続くことが予想されます。

意外と高い国内旅行への意欲

 海外観光客の回復が遅れる中、期待されるのは「国内旅行客」です。JTBが、7月4日に公表した「2011年夏休みの旅行動向」によれば、夏休みの国内旅行人数は、7,230万人と前年比2.7%の減少を予想しています。しかし、これはリーマンショック後の不況や新型インフルエンザの影響の大きかった2009年の夏を上回る旅行者数です。
 今回の国内旅行の特徴としては、節電で冷房を控える生活が続く中、旅行では涼しい観光地や温泉地でゆっくりしたいという意向が強いようです。特に首都圏から近い軽井沢や蓼科など信州の観光地、立山・黒部アルペンルートなども人気のようです。このほか世界文化遺産登録が決定した平泉や東北地方の復興応援の気持ちもあり、東北への旅行も人気が高まっています。

地域が連携し、避暑地「信州」のアピールを

 最近の夏場の長野県内への延利用者数をみると、ピーク時の2002年に比べ15%近い減少となっており、実際の「避暑地」としての競争力を失いつつあることがうかがえます。
 しかしながら、JTBが行ったアンケート調査「今年の夏、行ってみたい避暑地」(2011年5月)では、長野県内の避暑地が上位を占めました。この調査は電力不足が懸念される前の調査であり、足元ではさらにニーズが高まっていることが予想されます。
 こうした機会に地域が連携し、新たな避暑地などの楽しみ方を提案したいものです。首都圏に近い避暑地「信州」を再度アピールし、遠ざかった観光客を取り戻すきっかけにしたいものです。

2011年7月21日 

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