定額給付金を内需活性化の起爆剤に

暮らし向きはさらに悪化

 長野経済研究所が昨年の12月下旬から1月上旬にかけて行った消費動向調査によりますと、暮らし向きの良し悪しを示す「暮らし向きDI」という指数が過去最低水準であった前回調査をさらに下回り、過去最低水準を更新してしまいました。
 消費の抑制傾向はさらに強まっており、日ごろから節約を意識している人も8割と高くなっています。節約をする理由としては、「収入が増えないから」という回答が最も多く、次いで「老後の不安があるから」となっています。実際に節約しているものでは、「衣服や身の回り品」の回答が最も多く、このほか「全般的にすべて」、「外食」となっています。
 ただ、このような節約する中でも「優先してお金を使いたいこと」について尋ねると、最も回答が多かったのが「健康関連」、次いで「旅行・レジャー」となっています。

景気対策の効果は7割が「効果がない」

 こうした中、これまでいろいろと言われてきた景気対策もようやく一歩進んできました。2兆円に及ぶ定額給付金も早い自治体では2008年度中に支給されるところもあるようです。県内への定額給付金の総額は、長野県市町村課の試算(今年2月5日時点)によると約342億円になるそうです。
 今回のアンケートで定額給付金の使いみちを尋ねたところ、7割が貯蓄やローンの返済、生活費の補てんにすると回答しています。一方、「消費に回す」という3割の方の使いみちを尋ねると、「家電製品」が最も多く、次いで「旅行・レジャー」、「外食」となっています。「家電製品」の中では、地デジへの移行に伴う買い替え需要として「薄型テレビ」の回答が最も多くなっています。
 景気対策として定額給付金の有効性を尋ねると、約7割が「有効でない」と回答しており、もっと違うことに使うべきなのではと言った声が聞こえてきそうです。

行政に頼るだけでなく売る側も努力を!

 ただ、バラマキ感があるとは言え、実施される以上何とか景気浮揚に繋げていく必要があります。自治体の中には商品券を発行し、地域内で買い物をしてもらうよう働きかける自治体もあります。
 また、行政に頼るだけでなく販売する側も今回の景気対策を何とか不況を打開するきっかけにして欲しいものです。若い世代は、貯蓄に回す余裕はなく比較的消費に回る可能性があると思いますが、国内に眠る預貯金・保険、株などの個人金融資産約1400兆円の約6割を所有する高齢者にどうすれば消費してもらえるか知恵をしぼる必要があります。かつて地域振興券が配布された時には買い物をした時には無料で健康診断などを実施し、高齢者を引き付けるような商店街がありました。これを現在に応用すれば、高齢者が喜んで消費に回す「ペット」や「孫」をキーワードにした取り組みも効果的かもしれません。
 実際に、こうした消費不況の中でも、好調な企業は高齢化が進んでいる地方でも高齢者の需要をしっかり取り込んでいます。消費の担い手が若者から高齢者に移っている現状をしっかり捉え、消費不況を悲観するのではなく今回の定額給付金をきっかけに、高齢者に喜んでもらえるような商品やサービスの工夫など行ってみてはどうでしょうか。内需主導の景気回復は高齢者の消費がカギをにぎっていると言っても過言ではないからです。

(2009年3月10日)

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