高まる消費者の節約意識 ~消費動向調査結果より~
悪化する消費者の暮らし向き
当研究所が7月上旬に行った消費動向調査で、暮らし向きの良し悪しを示す「暮らし向きDI」(「暮らし向きが良くなった回答割合」-「悪くなった回答割合」)が△45.3となり、過去最低の水準となりました。これまでは5年前の2003年6月調査時が最も低い水準でした。当時の状況を振り返ると、長野県ではIT不況に伴い2001年以降、製造業の工場の閉鎖、海外移転が相次ぎ多くのリストラがあり、雇用環境は非常に厳しい状況にありました。そのほかSARS、イラク戦争などが消費者心理を大きく押し下げました。
今回の調査ではこの環境よりもさらに悪くなっている状況です。
高まる食料品価格上昇の影響
所得環境の低迷に加え、当時に比べ顕著に変わったのが、物価の状況です。消費者物価(長野市)をみますと、2003年7月の100.0に対し現在の直近7月の指数は102.8と物価は2.8%の上昇となっています。上昇幅でいえばそれほど高いとは言えませんが、消費者心理に大きく影響した理由としてはこれまでバブル崩壊以降、デフレ経済という物価が上がらない世界に10年以上もどっぷりと漬かってきたのが最近になって急に一部の品目で上昇したり、この先どこまで上がるのかといった不安意識の高まりがあるものと思われます。
また、最近のガソリン価格の上昇に加え、食料品価格も上昇傾向にあります。この影響について尋ねたところ、ガソリン価格の上昇に対し「影響がある」という回答は9割、食料品価格は8割となっており、かなり影響が大きいことがわかります。特に食料品価格は「かなり影響がある」という回答がこの半年間で2倍に増加し、家計への影響が高まっていることがうかがえます。
高まる消費者の節約意識
この結果、消費者の節約意識も高まっています。アンケートで「節約」への意識についてたずねたところ、「節約を意識している」という回答は約8割と高くなっています。また、この中の8割の方が実際に何らかの節約を行っているようです。
具体的な節約方法についてたずねたところ、衣類関連では「新規購入を控え」たり、「値段の安い店での購入」を増やしている様です。このほか「高くても機能重視のものを選ぶ、量より質を重視する」、「長くきるためにデザイン的に飽きのこない良質のものを買う」、「リフォームに力を入れてる」という意見もありました。
食生活の面では、「スーパーのチラシをみて安いものを買う」、「外食を減らす」、「食事の量を減らす」という回答が多いほか「野菜の自家栽培」を始めた方もいるようです。
そのほかでは「自転車・バイク通勤を始めた」、「たばこをやめた」などの回答もありました。
また、今後の物価見通しについて尋ねますと、「上がると思う」と回答した割合は8割を超えており、今後も「物価が上昇する」という見方が多くなっています。
我々は今後物価高と付き合っていかなくてはならないようですが、節約方法に見たようにより良いものを買ったり、野菜の自家栽培を始めたりといった前向きな工夫もみられます。辛い節約だけの生活から楽しみながら節約する生活へシフトしていきたいものです。
2008年8月26日
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