人材確保の困難さが深刻になりつつあります
人材確保の困難さが深刻になりつつあります
景気が回復する中、企業は人材確保に頭を悩ませています。
バブル経済が崩壊し、90年代前半から2000年まで企業は生き残りをかけ、大規模なリストラを行ないました。その中心になったのは従業員の削減でした。 新卒採用を抑制し、優遇措置を設け早期退職制を導入した企業が増加しました。
こうした動きが現在、従業員の構成比のひずみとなって現れています。特に2002年以降、景気が回復してくると、大企業では年齢構成のギャップが顕著になり、積極的に採用するようになりました。こうした影響を受けるのが中小企業です。 中小企業白書でも、中小企業が直面している経営上の課題として、「従業員の確保」を問題点として挙げる企業が急増しています。
中小企業の採用は更に困難になっている
リクルートワークス研究所が、民間企業と2008年3月の大学卒業予定者を対象行なった大卒求人倍率調査によると、全国の民間企業の求人総数は93.3万人と昨年よりも+13.0%増加しており、企業の採用意欲の高さがうかがえます。一方、求職側である大学生の民間企業就職希望者数は43.7万人(-0.1%)と頭打ちとなり、採用する企業にとっては厳しい環境となりました。また、従業員規模別では、1000人以上企業の求人総数は20.3万人、学生の就職希望者数は26.3万人(+5.1%)となり求職者数が求人数を上回りましたが、1000人未満の企業求人総数は73.0万人で昨年に比べ14.3%も増加しましたが、就職希望者数は17.3万人と昨年より-7.15の減少し、学生の大手企業志向が高まっていることがうかがえます。 中小企業にとってこの数年はいい人材を確保しやすい期間でした。しかし、今後は自社の求める能力を持った人材を集めることはますます難しくなりそうです。
社内の人材を辞めさせない努力も必要
人材獲得が困難になれば、中途採用を増やすか地道に自社の従業員の能力を高めていくほかありません。また、現在の人材を止めさせない努力も必要です。 辞めずにずっとこの会社にいたいと思ってもらうには、「安心して働ける環境づくり」や「やりがいを感じさせる仕組みづくり」が必要です。
県内の企業でも従業員の満足度を高めるために従業員満足度調査(ES調査)というものを行なっている企業もあります。 顧客に最も近い従業員がいきいきと仕事をすることで、顧客の企業に対する感じ方も変わり、企業への満足度も高まる効果が期待できます。このため従業員満足度調査を毎年実施し顧客満足度や企業業績の先行指標としてみている企業もあるようです。
いずれにしても今後人材の獲得競争は厳しい状況が続きますので、人材獲得について企業も攻めと守りの両方の戦略を立てていくことが必要でしょう。
(2007年11月)
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