日本経済:賃金上昇の光と影~中小企業は「存続をかけた賃上げ」に~

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最終更新日: 2026年2月6日

歴史的な賃上げの光と影

 日本銀行による0.75%への追加利上げは、春闘における「初動のモメンタム」が確認できたことが主な背景にあり、日本経済が「インフレ社会」へ移行する象徴的な出来事であった。この間、厚生労働省の「2025年賃金引上げ等の実態に関する調査」をみると、賃上げの全体水準がバブル期以来の高さに達する一方、企業規模による賃上げ格差が過去最大級まで拡大している現実を示している(図表)。大企業が戦略的な賃上げを進める一方、中小企業は離職防止のための「存続をかけた賃上げ」へ追い込まれつつあり、人手不足倒産増加の要因にもなっている。

インフレ社会への適応コスト

 中小企業の労働分配率は、高水準横ばい状態が続いており、増加する人件費が収益を圧迫する可能性が高い。また、今後は利払い負担の増加や賃料・物流費などのコスト増によって収益環境がさらに悪化することが見込まれる。
 インフレ社会への移行は資源配分の効率化を通じて経済を強靭化させる一方、地域雇用や社会基盤の喪失といった痛みも伴う。こうした中、政府による取引適正化・価格転嫁の推進は、中小企業の利潤確保と日本経済の安定に不可欠である。もっとも、それと同時に、価格転嫁の成功は物価の上昇と利上げ圧力の継続を意味する。こうした変化に対して、家計・企業が価値創造の循環として受容できるかが今後の焦点となろう(詳細はレポートをご覧ください)。

(図表)1人平均賃金の改定率と企業規模間格差

日本経済:賃金上昇の光と影~中小企業は「存続をかけた賃上げ」に~(475KB)(PDF文書)

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