金融市場:10月会合はなぜハトだったのか~金融システムレポートから読み解く~

印刷

最終更新日: 2025年11月5日

ハト派的だった10月会合

 10月の日銀金融政策決定会合では、事前の市場予想通り、政策金利を0.5%に据え置いた。植田総裁は、来年度春闘における初動のモメンタムを確認する姿勢を示し、12月または翌年1月の利上げを視野に入れつつも、10月会合での利上げを見送った。この背景には、外部環境の不確実性と金融システムへの影響があると考えられる。特に、10月の金融システムレポートでは、各国の通商政策変更が企業財務に及ぼすリスクを詳細に分析しており、輸送用機械や鉄鋼など一部業種で信用コスト増加の可能性が指摘されている。こうした状況は、日銀が「今は良いが、これからは不透明」と判断した根拠と考えられる。 

利上げが遅れるリスクと次回利上げ時期

 一方で、利上げの遅れは為替円安の進行や不動産市場の過熱といったリスクを伴う。金融システムレポートでは、マンション投資や商業用不動産における低利回り案件の増加を指摘し、局所的なバブル懸念を示唆している(図表)。日銀は、こうしたリスクと外需環境の不透明性を比較衡量しながら、次回利上げに向けたフリーハンドを維持するとみる。
 次回利上げ時期については、年明けの支店長会議で地方経済の動向を精査した上で、2026年1月が中心とみるが、米国経済や為替等の動向次第では、12月利上げの可能性も残されている(詳細はレポートをご覧ください)

(図表)国内銀行の業種別貸出金の推移(銀行勘定ベース)

金融市場:10月会合はなぜハトだったのか~金融システムレポートから読み解く~(604KB)(PDF文書)

このページに関するお問い合わせ

産業調査

電話番号:026-224-0501

FAX番号:026-224-6233