日本経済:底堅さをみせる中小企業の維持更新投資~悲観の中の希望~
企業部門が牽引するプラス成長と輸出の反動懸念
25年4-6月期の実質GDP成長率は前期比+0.3%と、5四半期連続のプラス成長を記録した。個人消費が停滞する中、純輸出と設備投資が成長に寄与し、特に財輸出ではトランプ関税引き上げ前の駆け込み需要が一部の企業で確認された。設備投資は先行き不透明感の中でも底堅さを維持しており、企業部門の堅調さが目立つ結果となった(図表1)。一方、7-9月期には関税の影響が本格化する見通しにあり、輸出の反動減が懸念される。
(図表1)実質GDPの個人消費・設備投資
中小企業の維持更新投資が示す構造的意義
外部環境の悪化が見込まれる中でも、中小企業の設備投資は維持更新目的を中心に底堅さを保っている(図表2、3)。やや子細にみると、中小製造業において機械設備の更新需要が徐々に高まっており、内部資金を活用した投資が増加傾向にある。
こうした動向は、国内製造業、特に地方経済を支える中小企業の生産性向上や産業政策の展望において重要な意味を持つ。中小企業の投資規模はマクロ的には限定的であるが、足もとの中小企業の投資行動は、設備ビンテージの長期化や人手不足といった中小企業を取り巻く諸課題に対応する動きとみられ、トランプ関税という未曾有の不確実性に直面する地域経済において、希望の光となるだろう(詳細はレポートをご覧ください)。
(図表2)設備投資実施企業割合と融資アベイラビリティ
(図表3)投資目的別の設備投資指数