日本経済:上下双方向のリスクと向き合う日米中銀~中東情勢の悪化は最悪のタイミング~
日米中銀とも政策金利を据え置き
日銀は6月会合において政策金利を据え置くとともに、国債買い入れ減額幅の縮小を決定した。これは、国債市場の安定性と柔軟性の両立を図る意図によるものであり、政府・財務省との連携を踏まえた対応と解釈される。物価情勢については、コストプッシュ型インフレと関税の影響による企業収益悪化の双方を考慮しつつも、相対的に下振れリスクの方をより意識する姿勢を維持しており、ハト派的と評価できる。
他方、Fedも政策金利を据え置きつつ、同時に公表した経済見通しにおいて年内利下げ回数の中央値「2回」を維持したが、ドットチャートを細かくみると委員間の見解相違が目立ってきている。
地政学リスクを起因とするインフレ圧力に要注意
中東情勢の急速な悪化に伴う原油などコモディティ価格の上昇は、日米両国にとって物価上振れリスクを高める要因となっており、特に日本では交易条件の悪化を通じて円安・輸入物価上昇の懸念が強まる。このため、日銀は、次回の会合ではややタカ派的なスタンスへと調整が必要となるだろう。コロナ禍後の高インフレ局面との類似性も意識される中、今後の金融政策を見通す上では、再び地政学リスクを起因とするインフレ圧力に注意が必要だ(詳細はレポートをご覧ください)。