長野経済:米国の関税率引き上げによる長野県経済への影響~実質GDP比▲0.2%~

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最終更新日: 2025年4月9日

米国の関税率引き上げによる長野県の実質GDPへの影響は▲0.2pt程度)

 米トランプ政権による関税率の引き上げ(以下、トランプ関税)を受けて、米国の平均実効関税率が25%まで上昇するとの前提の下で、今年3月に経済協力開発機構(OECD)が公表したモデルに基づいて日本経済への影響を試算すると、対実質GDP比で1年間当たり▲0.29%程度の下押し圧力があると推計される。この想定のもと、当研究所の最新の長野県経済モデル(生産側)から、トランプ関税による長野県経済への影響を試算すると、25年度は実質GDP比▲0.2%程度の下押し圧力があると推計される(図表1)。

(図表1)トランプ関税による実質GDPへの影響(全国・長野県)

景気後退リスクが高まる恐れ

  当県は相対的に自動車産業(完成車等の輸送用機械)のウェイトが低いことから、全国に比べると影響は低めに推計されるが、以下の2点から景気後退リスクが高まる恐れがある。企業の生産活動の減速を起点に、設備投資や雇用・所得、個人消費といった広範な影響が見込まれることから、今後の日米政府間の交渉について、その帰趨を注視していく必要がある(詳細はレポートをご覧ください)

(1) 長野県の主力産業である電子部品・デバイス産業や一般機械などでは、近年、車載向けのウェイトが高まっており、推計された数字以上に、製造業全般に対して広範な影響が懸念される。

(2) 25年度の長野県の実質成長率は全国を▲0.3%pt下回る0.8%(図表2)と見込んでおり、▲0.2%ptの低下であっても実体経済や景況感への影響が相対的に大きくなる可能性。また、関税引き上げにより世界経済全体の成長率が減速すれば、下押し圧力は更に拡大する恐れ。

(図表2)25年初時点の実質GDP予測値(全国・長野県)

長野経済:米国の関税率引き上げによる長野県経済への影響~実質GDP比▲0.2%~(410KB)(PDF文書)

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