県内企業の賃上げへの対応<2023.2.10>
41年ぶりの物価上昇により実質賃金が低下
長野市の2022年の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年比+3.1%と、41年ぶりの高い伸びとなりました。
長野県の毎月勤労統計(事業所規模5人以上)で実質賃金(名目賃金の変化から物価変動の影響を差し引いて算出)をみると、前年同期(21年1月~11月平均)比△2.5%と前年を下回っており、今後の賃上げの動向が注目されます。
そこで、当研究所では県内企業を対象に22年12月~23年1月に「最近の経済環境の変化に関する調査」を実施し、23年度賃上げ状況をお尋ねしました。
調査の概要
賃上げに前向きな企業は75.1%
まず、図表1より、23年度の賃上げへの対応状況については、「賃上げに前向き(「賃上げをする(32.8%)」+「賃上げを検討している(42.3%)」)が75.1%となりました。
さらに、「賃上げに前向き」と回答した企業の賃上げの内容を図表2でみてみると、「定期昇給」が77.0%と最も多く、次いで「ベースアップ」が45.1%などとなりました。
また、図表3で賃金改定に当たり最も重視する要素をみると、「企業の業績」が50.0%と最も多くなった一方、「物価の動向」は1.0%にとどまりました。
図表1 2023年度の賃上げについて
図表2 賃上げの内容
図表3 賃金改定にあたり最も重視する要素
実質賃金は上昇するか?
コロナ禍からの景気回復を着実なものとするには、個人消費がカギを握っており、そのためには物価上昇分を上回る賃金の上昇が求められます。
ただ、現在、県内企業の業績は原材料価格などの仕入れコストやエネルギーコスト上昇分の価格転嫁が遅れており、厳しい状況にあります。賃上げに前向きな回答割合は75.1%ありますが、企業業績は厳しさが続くとみられる中、物価上昇分を上回る賃上げがなされるかが注目されます。
*今回の調査結果の詳細は、当研究所HPで公表しておりますので、ぜひご覧ください。
(2023.2.10)