観光地や観光施設で始まった拡張現実(AR)活用の動き<2022.7.11>

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最終更新日: 2022年7月11日

 観光振興の新たなコンテンツとしてAR(Augmented Reality)が注目されつつあります。ARとは、現実の空間にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を仮想的に拡張するものです。県内で先進的にARを活用している観光地や観光施設の事例を紹介します。

  • 株式会社 阿智昼神観光局(下伊那郡阿智村)
     (株)阿智昼神観光局は、阿智村の標高1,200mの山間にある「浪合パーク」で2021年7月より、新たに「ARナイトウォーク」というサービスを始めました。このサービスは、(株)阿智昼神観光局とセイコーエプソン(株)を始めとした5社が共同で開発したもので、ARスマートグラス、高精度位置測位システム、星空解説専用アプリケーションなどを組み合わせた、日本初の屋外での観光コンテンツとなっています。
    利用者は、高精度位置測位システムと連動したARスマートグラスとイヤホンを装着し、パーク内の遊歩道を歩きビューイングエリアで夜空を眺めると、現実の星空とARスマートグラスのレンズ上に映し出された星座線や星座の絵が重なり、その解説をナレーションを聞きながら楽しむことができます。また、ビューイングエリアまでの遊歩道では、ペガサスが現れて星のかけらを探して願いをかなえるストーリー「ペガサスの落とし物」の映像がレンズ上に流れ、移動時間を楽しめる工夫がなされています

「ARナイトウォーク『Star Fragment~星のかけら~』」の映像

AR1

  • 安曇野ビンサンチ美術館(安曇野市)
     安曇野ビンサンチ美術館は、館長である北山敏氏の作品を中心に展示している美術館です。館長の作品は、1枚の落ち葉をスキャナーで読み込み、絵の具の代わりに自然の持つ色や形をそのまま使って1羽の「ふくろう」の絵を描く作品や、ワイン、コーヒー、醤油、樹液、香水など身近な液体を結晶化し、それらを顕微鏡で捉えた珍しいものです。
     当館では、こうした展示物を「飛び出すAR絵画」にすることで新たな鑑賞体験を提供しています。AR絵画の観賞には、スマホに無料アプリケーション「Artivive」をインストールした上で、「ふくろう」や「ミクロ(液体を結晶化)」の絵をスマホでかざすと、画面内に絵から飛び出したような映像を音楽付きで楽しむことができます。実際にふくろうが立体的に映し出されこちらに向かって飛んでくる映像を見ることができます。

安曇野ふくろう 4mの壁画(作品名)
<通常の鑑賞>

ar2

 <AR鑑賞>

AR3

 この2社は、ARを活用することで、これまでにない視点や角度から、自然や展示物の魅力を引き出し、新たな付加価値を生み出すことに成功しています。

 *2社の取り組みは、経済月報7月号で詳しくレポートしています。ぜひ、ご覧ください。

 (2022.7.11) 

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