コスト上昇による業績悪化が懸念<2022.4.26>

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最終更新日: 2022年4月26日

 

資源高と円安の影響で企業物価指数は上昇

 2021年後半から原油を中心とした資源価格が高騰しています。さらに、為替レートが円安に進んだことで、日本企業が輸入する際の輸入価格も上昇しています。
 こうした動きから国内でも、企業間で売買される財の価格が上昇しており、企業物価指数は、21年11月以降、前年同月比9%前後の高い伸びが続いています。足元では、22年2月が同+9.7%、3月が同+9.5%と、41年ぶりの高い上げ幅となりました。

既に影響がある企業は7割強

 資源価格の上昇などが県内企業へ与える影響を探るため、当研究所では「最近の経済環境の変化に関する調査」を実施しました。
 図表1で原材料価格変動による業績への影響についてみると、「マイナスの影響がある」が61.5%、「ややマイナスの影響がある」が15.5%と、マイナスの影響がある企業は7割強となりました。
 また、原材料価格上昇への対策の1つである、販売価格への転嫁状況をみると、図表2のとおり「すべて転嫁済」が3.6%となった一方で、「全く価格転嫁できていない」が29.3%、「5割以下」が37.9%となり、価格転嫁が半分以下の企業は6割強となりました。

 

 図表1 原材料価格変動による業績への影響

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図表2 販売価格への転嫁状況

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仕入価格見通しDIは81.7%ポイントに上昇

 さらに、今後の見通しについて当研究所の「産業別四半期調査」によると、22年4-6期の仕入価格見通しDI(「上昇見通し」-「低下見通し」)は81.7%ポイントと、リーマン・ショック前の71.6%ポイントを上回り、調査開始以来最も高くなりました(図表3)。一方、販売価格見通しDIも47.3%ポイントと上昇しており、県内企業は販売価格への転嫁を進めていくとみられます。
 足元では、円安が進展しているほか、ロシアのウクライナ侵攻が資源高に拍車をかけており、さらなる企業物価の上昇が懸念されます。県内企業は一定の価格転嫁を実施する見通しですが、仕入価格上昇分全てを販売価格へ転嫁することは難しく、企業業績に悪影響が生じることも予想されます。

図表3 販売・仕入価格見通しDIの推移

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*今回の調査結果の詳細は当研究所HPで公表しておりますので、ぜひご覧ください。

 (2022.4.26) 

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