ゼロカーボンに向け重要な住宅のZEH化<2021.07.12>

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最終更新日: 2021年7月12日

 

全国に先駆けて策定された「長野県ゼロカーボン戦略」

 長野県は、2021年6月に「長野県ゼロカーボン戦略」を策定し、50年度までに温室効果ガス排出量ゼロを目指しています。
 その実現に向け、家庭部門では10年度に比べ30年度に31%、50年度に74%の最終エネルギー消費量の削減目標を定めました。
 この削減目標達成のためには、住宅のZEH(Net Zero Energy House)化が必須で、戦略では「30年には全ての新築住宅のZEHを実現」と目標を定めています。
  

ZEHの3つのメリット

 ZEHとは、省エネと創エネによりトータルでのエネルギー消費量をゼロ以下にする住宅のことです(図表)。ZEHを導入する消費者のメリットには、「経済性」、「快適・健康性」、「レジリエンス性」の3つがあります。
 1つ目の「経済性」は、高い断熱性能と高効率設備の利用により、光熱費を安く抑えられる一方で、太陽光発電等による創エネで売電収入を得られることです。ZEHは建物の高性能化と太陽光発電設備が必要となるため初期費用(イニシャルコスト)は高くなりますが、長期的には電気代などランニングコストの削減分と売電収入でそのコストを賄うことになります。
 2つ目の「快適・健康性」は、高断熱・高気密化により室温を一定に保ちやすくなることで、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な生活を送ることができ、夏は室内熱中症、冬は急激な温度変化によるヒートショックがもたらす心筋梗塞等の予防につながります。
 3つ目の「レジリエンス性」は、災害発生により停電した場合でも、太陽光発電により発電した電気を使用できるため、安心して生活を送ることができます。

 

 図表 ZEH概念図

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目標達成に向けて

 長野県は、30年には全ての新築住宅のZEH化を目標としています。実現への課題は、住宅の供給サイドである県内の全てのハウスメーカー・工務店等がZEHに対応できていない点や、消費者のZEHへの理解度の不足や初期投資に対する負担などがあります。
 これらの課題に対し、供給サイドは、断熱性や気密性など住宅の基本性能を高めZEH基準を満たす住宅を提供することで、消費者のニーズに応えていくことが不可欠です。また、行政は、目標達成に向け消費者に対しZEHのメリットを周知していくとともに、経済的負担軽減のため補助金等を充実させることが求められます。そして、需要サイドである消費者は、ZEHのメリットを理解し、快適かつ環境に優しい生活を送るために、ZEHへの転換を積極的に進めていくことが必要となります。

*経済月報7月号トピックスでは、ZEHのメリットのうち、特に「経済性」、「快適・健康性」について、県内での年間着工戸数が多く、ZEH受託率(全受注戸数のうちZEH住宅の割合)も高い、長野市のホクシンハウス(株)の事例を基に、その特徴を紹介していますのでぜひご覧ください。

 (2021.07.12) 

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