新型コロナにより出産・結婚が急減<2020.12.29>

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最終更新日: 2020年12月29日

 

2021年の出生数は80万人割れの可能性

 全国の出生数は、2016年に初めて100万人を割り込み、19年には86万5,239人と、わずか3年で11万人以上減少しています。このような中、21年の出生数は新型コロナの影響で大幅な減少が見込まれています。
 全国の妊娠届出数の前年同月比の推移を図表1でみると、20年5月以降急減し、5月~7月累計の妊娠届出数は前年同期比△11.1%となっています。
 長野県の妊娠届出数の推移は図表2のとおりで、20年は18・19年と比較して少ないことが分かります。減少率でみると、20年5月~7月の累計は前年同期比△10.8%と、全国同様に急減しています。
 これは、新型コロナが妊婦や胎児に与える影響に未解明な部分があるため、感染拡大した3月以降に妊娠をためらう人が増加したことが要因と考えられます。
 こうした不安は現在も解消していないことから、仮に妊娠届出数が7月以降も前年に比べ1割以上減少して推移したとすると、21年の出生数は80万人を割り込む可能性があります。
 国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計(17年推計)では、出生数が80万人を割り込むのは3 3年と予想していましたので、少子化が想定より10年以上前倒しで進んでしまう見込みです。

図表1 全国の妊娠届出数の前年同月比の推移

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図表2 長野県の妊娠届出数の推移

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婚姻件数も急減

 また、婚姻件数も急減しており、出生数のさらなる減少につながることが懸念されています。日本では、嫡出子(結婚している父母から生まれた子)の割合が98%と、結婚と出生の結びつきが強いため、婚姻件数の多寡が、その後の出生数に大きく響きます。
 人口動態統計で、全国と長野県の20年の1月~10月累計の婚姻件数を前年同期と比べると、全国は△13.3%、長野県は△14.3%と、いずれも急減しています(図表3)。
 これは、新型コロナ感染拡大に伴う雇用環境の悪化により経済的な不安が高まったことに加え、コロナ禍で出会いが限られたり、付き合っていても結婚を見合わせていることなどが要因となっています。
 新型コロナ対策として経済対策ばかりに注目が集まりますが、今後は、結婚・出産対策の必要性も高まってくるでしょう。

図表3 婚姻件数(1月~10月累計)の前年同期比の推移

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 (2020.12.29)

 

 

 

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