事業継続のため必要となる緊急事態への備え

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最終更新日: 2020年4月10日

 

求められる緊急事態への対応力

 頻発する自然災害や感染症のまん延は、企業の事業継続を危うくします。こうした緊急事態の対応を定め、危機管理に役立つのが事業継続計画 (BCP:Business Continuity Plan)です。
 BCP策定の目的は、図表1のように、自社の中核事業を、緊急事態発生後も一定以上のレベルで継続させ、許容される時間内に操業度を復旧させることです。これにより、売り上げの減少を抑えるほか、取引先からの信頼の維持・獲得、従業員の雇用維持のほか、地域経済の活力を守ることにもつながります。
 しかし、当研究所が2019年12月~20年1月に実施した調査では、県内企業のBCP策定状況は3割にとどまっています。

図表1 BCPの概念図

BCP 

台風19号発生時のBCP活用事例

 NiKKi Fron 株式会社は、台風19号の被害が特に大きかった長野市穂保に、本社並びに長野工場があります。同施設は1.5~2.0mほど浸水し、建物・生産設備の損害、サーバーの浸水など甚大な被害を受けました。同社は、2015年にBCPを策定していましたが、水害は想定外でした。
 しかしながら、BCPを策定していたことで、相定外の災害であっても千曲川決壊の翌日には従業員全員の安否確認ができたほか、工場設備の被害軽減や早期復旧が可能となりました。
 一方、工場で電力を使用するために欠かせない変圧器をいかに守るかなど、BCPの見直し・改善が必要な点も明らかとなりました。これらの点を改善していくことで、より被害を軽減させ、早期復旧を可能とするBCPへとレベルアップすることが期待されます。
 

大丈夫と思わずに必要な備えを

 緊急事態はいつ起きるか分かりません。「自社だけは大丈夫」、「この地域だけは大丈夫」と考えずに、各地で起きる災害を他人事と思わず、自社に当てはめ被害状況を具体的に想定しBCPを策定することが必要となります。
 BCPに完璧はありません。そのため、自社のBCPを日頃から見直し、整備していくことが重要です。また、社員に周知し訓練することは、被災時のスムーズな行動につながります。
 こうした緊急事態の備えが、従業員、取引先の信頼、地域を守ることにつながるのではないでしょうか。新たな脅威となっている新型コロナウイルスに対峙して、BCP策定の必要性はより高まっています。各企業は、これを機会に積極的に策定に取り組むことが求められます。

 *詳細は、経済月報4月号の「事業継続のため必要となる緊急事態への備え」に掲載しておりますので、ご覧ください。
 *当研究所では、BCPの策定・運用のお手伝いをしております。各企業(組織)の業務内容や規模に合わせ、個別にご相談させていただくほか、地域での勉強会などにも対応させていただきます。お気軽に、経営相談部までお問い合わせください。
 

(2020.4.10)

 

 

 

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