健康経営で企業価値の向上を
~健康経営は「コスト」でなく「投資」~
注目を集める健康経営
働き方改革の一環として注目を集めている「健康経営」とは、従業員の健康づくりを経営課題として捉え、従業員の健康増進に努めることによって、医療費適正化を図るだけでなく、労働生産性を向上させ、企業価値の向上にもつなげようとする経営手法です。導入により、従業員にも企業にも多くのメリットをもたらすことが期待されます。
当研究所の会員企業へのアンケート調査を通じ、健康経営の認知度や実践状況を把握するとともに、今後、健康経営を実践するにあたっての課題や必要なサポートなどを探りました。
8割の企業が健康経営を認知しているが、実践している企業は2割にとどまる
健康経営という言葉の認知度を尋ねたところ、8割の企業が健康経営という言葉を知っていると回答しましたが、「現在実践している」企業は約2割にとどまりました。
健康経営を未実施の企業に、その課題を尋ねると「ノウハウがない」が50.4%と最も高く、次いで「何をしたらよいかわからない(指標がない)」が42.4%となりました(図表1)。また、こうした課題の解決に向け必要なサポートについては、「『健康経営』の取り組み事例の紹介」が62.0%と最も高く、次いで、「専門家による企業診断とコンサルティング」が39.8%となりました(図表2)。このように、未実施の企業は、健康経営に取り組みたくても、具体的な方法が分からず、他社の参考事例や専門家によるアドバイスを求めています。
図表1 「健康経営」を実践するにあたっての課題(未実施の企業)
図表2 「健康経営」を実践するにあたって必要なサポート(未実施の企業)
最初のステップはできるところから着実に
これらを解決するための手助けとして、長野県次世代ヘルスケア産業協議会のホームページに掲載されている「健康経営パンフレット」や、経済産業省と東京商工会議所が作成した「健康経営ハンドブック」等があります。これらを参考に、できるところから取り組むことが健康経営の第一歩となります。
健康経営の取り組みを「コスト」と考えず「投資」と捉え、着実に続けていくことで、企業から大切にされていると感じた従業員の満足度・モチベーションは高まります。その結果として、生産性の向上や離職率の減少につながり、将来的に企業価値を向上させ、企業の継続にもつながっていくことが期待されます。
*アンケート調査の詳細は、経済月報6月号の「健康経営で企業価値の向上を」に掲載しておりますので、ご覧ください。
(2018.06.08)