御開帳・御柱祭で持ち直しが期待される2022年の長野県経済~<2021・12・21>

 

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最終更新日: 2021年12月21日

 3度の感染拡大の波で苦戦を強いられた2021年

 2021年は首都圏などを対象とした緊急事態宣言が3度発出され、それらの地域からの集客を主軸とする長野県観光は甚大な影響を受けた。また、自粛ムードが広がる中、消費行動も盛り上がりに欠け、飲食業やサービス業なども苦戦を強いられた。

 一方、製造業は拡大するIT機器関連や自動車需要を背景に、業況は持ち直しに転じた。

 総じて見るなら、長野県経済は厳しさを脱しえない1年となったと言えよう。

 産業天気図で示すなら(下図)、全12業種中6業種が低調を示す「小雨」となり、特に「観光」は不調を示す「雨」となった。

 一方、IT機器関連や自動車需要拡大の恩恵を受けることができた、「生産用機械」と「電子部品・デバイス」は好調を示す「晴れ」となった。

非製造業が不調を脱し、持ち直す新年経済

 新年の長野県経済は、緩やかながらも持ち直していくと予想する。

 「雨」の業種はなくなり、「小雨」も2業種に減少する(下図)。観光面で善光寺御開帳と諏訪地域の御柱祭が同時開催されることが大きい。

 「生産用機械」や「電子部品・デバイス」は、引き続きITや自動車関連の積極的な投資姿勢が続くとみられ、「晴れ」を見込む。そうした動きを受け、「機械器具卸」も「薄日」が持続する。

 昨年後半、半導体不足から「小雨」となった「自動車部品」、「自動車販売」も半導体不足が徐々に緩和していく見通しであり、「曇り」へと改善する。「自動車部品」の動きが活発化することに伴い「貨物」も「曇り」へと改善する。

 個人消費は、業態別にみると「大型小売」は堅調な内食需要に加え、外出機会の増加による衣類の売り上げ増加から「曇り」ながらも持ち直しの方向で推移する。

 不調が続いている「観光」は、善光寺御開帳と諏訪地域の御柱祭の同時開催に加え、Go Toトラベル再開による観光客数の増加が見込まれることから、「曇り」への改善を見込む。また、人の移動が活発化するにつれ、飲食店などの利用者増加が見込まれ「食料品製造」、「飲料製造」も上向く見通しだ。

 「民間工事」は、昨年から増加に転じた設備投資が好調なことや、個人住宅の着工も堅調が見込め、「曇り」に改善する。なお、「公共工事」は「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に伴う工事を中心に安定した工事量が見込まれ、「薄日」を維持するだろう。

善光寺御開帳と御柱祭を経済回復の契機に

 長野県経済回復のためには、V字型に回復を遂げている製造業が失速しないことはもちろんのこと、低迷する非製造業の回復が欠かせない。

 製造業については、供給制約だった半導体不足は緩和に向かう見通しだ。IT関連や自動車の底堅い需要も続いており、それに応じた設備投資も積極姿勢に転じている。

 非製造業では、観光客も徐々に戻りつつある。そして、これを加速させるのが善光寺御開帳と諏訪地域の御柱祭だ。この2大イベントに多くの人々を迎えることができれば、非製造業回復の足取りもより確かなものになろう。

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