新型コロナに対峙する長野県企業<2020・04・10>

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最終更新日: 2020年4月10日

長野県経済を下押しした新型コロナウイルス 

     新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、深まる先行きの不透明感は経済活動を停滞させている。

  コロナ禍は、米中貿易摩擦で減速した生産活動に合わせ、台風19号災害などで弱まっていた長野県経済をさらに下押しした格好だ。

  米中貿易摩擦により減少を続けた外需 

   2019年は米中貿易摩擦により中国を中心に海外需要が減少し、県内製造業は輸出減少を主因に生産全体が減少を続けた。そうした中、消費は比較的堅調であり、経済全体ではかろうじて「緩やかな回復」を続けてきた。
   長野県経済は外需エンジンが弱った中での、内需頼みの片翼飛行となっていた。そして、10月の消費税増税の影響も、駆け込み消費が限定的だったゆえに大きな反動減はなかった。
   しかし、同時期に台風19号やその後の歴史的な雪不足に見舞われ、県内の内需は堅調さに赤信号が灯り始めた。

感染拡大防止策として採られた移動制限

 そこを襲ったのが新型コロナウイルスである。新型コロナウイルスの感染拡大は急速だった。
感染拡大を抑え込むため各国では、人々の外出禁止などを講じてきた。中国では1月、武漢市で都市封鎖を宣言。感染者が急増した欧州では、イタリアを始めスペイン、フランスなど多くの国で外出禁止などが講じられた。米国でも、ニューヨーク州を始めいくつかの州で原則として外出を禁じる命令が出された。
   日本においても、2月の外出自粛要請を契機に外出、旅行、イベントの自粛が広がった。そして、4月に入ってから感染者の急拡大を受け、政府は同月7日に緊急事態宣言を行うに至った。

停滞する経済活動 

  外出禁止など人々の行動を抑制する動きは、当然に経済活動を停滞させる。それは小売・飲食・観光関連業を直撃することで、県内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費を低迷させた。台風19号災害や雪不足により縮んだ消費は、さらに下押しされることとなった。
   片翼飛行で耐えた長野県経済は、現状、頼みの内需も減速することでけん引役を失った形になっている(「2020年1-3月期業況アンケート調査」参照)

県内企業アンケートにみる企業の対応策

  コロナ禍の中で低迷を続ける長野県経済だが、コロナ禍の各企業への影響や対応策はどのようなものか。
   長野経済研究所が3月に県内会員企業に対して行った「新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査」では、5割が既に影響を受けており、3割が今後影響が出る見込みと回答している。そうした中、各企業では「当面の資金確保」、「生産・販売計画の見直し」などの対応を講じている。
   先ずは事業存続のため「当面の資金確保」が必要だ。国では資金繰り支援のため、信用保証融資や金利優遇融資を用意しており、民間の金融機関も特別貸付を行っている。急場にある企業は、金融機関や外部の支援機関に相談を寄せている。
   また、「生産・販売計画の見直し」との回答から、企業がコロナ禍に対する前向きな対応をしていることも分かる。
   「これを機にテレワーク環境を整備する」、「前向きに捉え、IT化、働き方改革を進めていきたい」、「空いた時間で社員教育をしたい」、「ネット販売を進めたい」などの具体的取り組みも始まっている。

コロナ禍に対抗して次の一手を

  リーマンショック時も、社員の雇用を守るために雇用調整助成金で社員教育に力を入れ、スキルアップに取り組む企業が多くみられた。また、未曽有のピンチを機に社内で「危機意識」を共有することで利益率を上げた企業もあった。急激な収益悪化は社員のコスト意識を高め、社内全体に無駄取りの機運が定着した。これらの企業は、その後の景気の回復で見事に業績を復活させている。
 当面は急激に襲い来る厳しい状況への対応で、こうした手立ては後回しになるかもしれない。
 しかし、コロナ禍に対抗して仕事の見直しや人材育成など、次の一手を打つことも欠かせぬ対応だろう。
 

 

  

 

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