人口減少の原因は主婦への家事の偏重では<2019・05・20>
平成は人口が減少に転じた時代
平成は増加を続けた人口が減少に転じた。令和となり、5月に総務省から発表された統計によると、4月1日時点での14歳以下の子供の数は前年より18万人少ない1,533万人となった。これで子供の数は38年連続での減少となった。
子供が減少した理由は、生まれる数が急激に減ったことだ。出生数を見ると、2018年は92万人と、第1次ベビーブームがあった頃の約270万人の三分の一となっている。また、一人の女性が生む子供の数にあたる合計特殊出生率をみると、第1次ベビーブーム期には4.3を超えていたが、1989(平成元)年には1.57となってしまい、現状1.4程度で推移している。
単純に考え、夫婦2人からは2人生まれないと人口は減少するが、現状1.4人しか生まれない勘定となっている。
何故、女性は子供を産まなくなったのか
何故、女性は子供を産まなくなったのか。天下国家を語ってみても、ピンとこないので身近な問題から考えてみたい。
10連休に大学時代の女友達と会った時の話だ。子供も働き出し、一安心といった感じも受けたが、家庭の話になると夫の批判が始まった。多くは妻が働いても、夫が殆ど家事・育児に手を出さないということであった。何か言うものなら「家事は主婦の仕事だろう」、「文句があるなら俺ぐらい稼いでみろ」などという暴言を投げかけられたという。なぜ、「主婦」というだけで、家事に縛り付けられなくてはならないのか。彼女たちの憤慨するところである。残念なことに彼女らの多くは、2人目を諦めざるを得なかったようだ。
長野県でも良く聞く話だ。「主婦」は食事を作って、24時間家事をして当然という風潮は根強い。
「俺ぐらい稼いでみろ」に正当性はあるのか
さて、主婦は稼いでいないので、家事をやるのは当たり前なのだろうか。
例えば、子供一人を出産して、パートで働いている女性を例に「稼ぎ」を考えてみる。人の価値はお金に換算できるものではないが、一人の出産を大雑把に生涯賃金とする。ひと一人の生涯賃金は、大卒でおよそ2億5千万円との推計がある。これからすると妻は子供を出産することで、この生涯賃金に貢献している。さらに給与や家事を加えたら、この倍近くにはなろう。
となると、夫が威張れる権利は、5億円を稼いで家政婦を雇ってからとなる。しかし、雇った話は聞いたことがない。主婦が家事をやるのは当たり前でもなんでもない。
当然に子供を産んでいなくても、夫に罵られるいわれはない。キャリアを中断して家庭に入った妻の貢献は、キャリアを続けて賃金を上げてきた夫と比べられるものではないからだ。
人手不足時代、夫の役割はさらに増す
そして、令和になったが、仮に夫が5億円を稼いだとしても、家事、育児から免れる訳ではない。
人手不足時代に女性の労働力なくして、日本経済の成長はないことは明らかになってきている。女性の活躍に向け、企業では育児休暇や短時間勤務などの制度を進めている。こうした中、家庭内が相変わらずの「家事は妻、夫は会社」という構図では、企業の制度も色あせる。女性は活躍できないし、子供を産もうという環境になっていかない。
今時、仕事から妻が帰宅した際に、夫が寝ころびビールをあおりながら夕食を待っているようでは日本の未来はないだろう。
家庭には、従来の夫婦を超えたパートナー関係が必要だ。日本の人口減少対策を考えるなら、家事の分担などということでは中途半端だろう。我々男が直ぐに怠け心からすがってしまう「主婦」という言葉ごと無くしてしまった方がいいのかもしれない。
令和は是非、少子化に歯止めがかかるような時代になって欲しい。
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