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コロナチャンス~必要は発明の母~<2020・12・15>

コロナ一色の2020年

今年はコロナの悪影響一色の年となった。

経済への打撃は厳しいものだったが、最近では、コロナへの対応をビジネスにつなげている企業も少なくない。

チャレンジングな長野県内企業について紹介をする前に、これまでの経済への影響を簡単に振り返っておきたい。

甚大な経済への影響

県内製造業に大きな影響を与えたのが、4月の国内自動車メーカー各社の工場の停止だった。

電子・デバイスなどに強みを持つ長野県製造業だが、自動車向け部品も増えていることから、県内製造業全体の受注を大きく押し下げた。製造業の売上を示す「鉱工業生産指数」を見ると、5月は前年に比べ21.1%もの落ち込みとなった。

4月7日には東京など7都道府県に緊急事態宣言が発せられ、16日には全国に拡大された。これは5月25日まで継続された。

緊急事態宣言は、人の移動を抑制することで感染拡大を抑えるという「感染防止策」だが、同時に経済活動を犠牲にするという面を併せ持ったものだ。観光産業に強い長野県ではそれが大きな影を落とした。当研究所の県内企業に対する2020年の売り上げ予想に関するアンケートでは、関連産業は対前年4割から6割の売上減を訴えている。

これら自動車メーカーの工場停止や緊急事態宣言があった2020年4から6月期の日本経済の実質GDPは前期比マイナス7.9%、年率ではマイナス28.1%となった。これはリーマン・ショック直後の2009年1から3月期のマイナス4.8%(年率換算ではマイナス17.8%)を下回り、戦後最大の下落幅である。

長野県においても、当研究所の企業業況アンケート調査の4から6月期の結果はマイナス60.5と6期連続の悪化となっており、リーマン・ショックで落ち込んだ2009年7から9月期以来の水準にまで落ち込んだ。

この時期に実施した県内企業への売り上げ予想調査などをもとに、当研究所で2020年度の長野県の経済成長率を推計したところ、マイナス7%と相当に厳しい結果となった。

日本経済も2020年度の経済成長率は、国際通貨基金(IMF)によるとマイナス5.3%と予測されている。

これは、コロナによる死亡者数が日本のおよそ50倍に上る米国のマイナス4.3%を上回る数字であり、「なにをやってるんだ日本経済!」と言いたくなる惨状である。

コロナ禍への対応をビジネスチャンスに

縮みあがっている日本経済には、コロナの収束は言うまでもないが、コロナに対する恐怖心を取り除き消費を回復させることと、コロナ禍転じて福となす事業チャレンジが必要だ。

毎月、コメンテーターとして出演をしている信越放送「明日を造れ!ものづくりナガノ」の出演企業から、2社ほどチャレンジングな事業展開を紹介したい。

株式会社ワークソリューション(紫外線除菌装置 製造・販売)

辰野町の株式会社ワークソリューション(代表 荻原真二氏)。同社は紫外線除菌装置を製造・販売するメーカーだ。

同社の主要製品である「手袋殺菌システム」は食品工場などで多く使われており、紫外線C波がわずか5秒で作業員の手袋に付いた食中毒原因菌を除菌している。

同社の強みは、長年にわたってウイルスや細菌に対して紫外線C波の有効性を研究してきたノウハウであり、それを活用して確実な除菌効果と安全性を両立した除菌装置をニーズに応じ開発できる力にある。

コロナウイルスに対しても紫外線C波が貢献できないかとの思いから、3密となりやすい部屋の空気を紫外線C波で殺菌する「空気除菌装置」を開発した。

これは天井・壁などへ設置する装置であり、装置内部で紫外線を照射するため人に直接紫外線が当たることがなく安全な構造となっている。

医療機関を始め、広い宴会場を有する飲食業、スポーツジム、学校施設などからの引き合いが多くなっている。

株式会社アコーズ(活動量計 設計・開発・製造)

もう一社は飯田市の株式会社アコーズ(代表 佐々木邦雄氏)。同社は他社ができない微妙な運動量を計測する活動量計を設計・開発・製造し、自社ブランドを持つメーカーだ。

コロナにより外出がままならない中、室内での運動も増えた。それらに対応するため、室内でのエアロバイクや踏み台昇降などの運動量や筋力年齢が測れる活動量計など多様な機種を揃えている。

同社の強みは、活動量計を極めた独自のアルゴリズム開発力とその商品化である。

同社はその強みを使い、対コロナに最も重要と思われる「睡眠の質」を高める機器への挑戦を始めている。

ウイルスに対しての防御策は免疫力を高めることが欠かせない。その免疫力を高めるためには、良質な睡眠を取ることが必要である。

手始めに開発を進めているのは、睡眠の深さや寝相など睡眠時のさまざまなデータを取ることができる商品だ。まずは睡眠の現状を正しく把握することが必要であり、そのデータを使うことで睡眠の質が分かり、向上のための対応もできる。

現在、睡眠時の活動測定を得意とする県内のシステム会社と連携しながら、睡眠の質を向上させるための商品開発を続けている。

必要は発明の母

コロナという感染症ゆえに人の移動が制限される場面が多く、経済面でのマイナス影響が多いが、一方で、だからこそ必要となる製品やサービスもある。

それを「自社の強みで何ができるだろうか」と検討してみることが先ず必要だ。

自社の強みが明確になっていれば、開発したい製品に不足する資源も明らかになる。取引先や業界仲間、付き合いのある大学などと連携することで不足する部分が埋まることも多い。

コロナ禍において、今までになかった必要とされるモノやサービスは増えている。であればこそ、それは商機以外のなにものでもない。

「必要は発明の母」なのだ。

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