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多品種少量と匠の技で世界に臨む ― ゴコー電工の挑戦<2026・06・01>

多品種少量・一貫生産でつくる特殊モータ

 富士見町に拠点を構えるゴコー電工株式会社は、生産量が極めて少ない「特殊モータ」を専門に製造するメーカーである。 
汎用品では対応できない厳しい要求仕様に応えるモータづくりを強みとし、半導体製造装置・自動車をはじめ、航空・宇宙・防衛産業など幅広い分野と取引している。
 同社の製造現場を覗くと、多品種少量生産という言葉をそのまま体現した光景が広がる。製造ラインごとに異なる形状・サイズのモータが組み立てられ、同じものを大量に作るラインはほとんどない。
 量産品であっても1か月の生産台数は最大1,000台程度。加えて、年間200件以上もの試作開発品を「1台から」受け入れている点は、業界でも特筆すべき特徴と言える。
 こうした多品種少量生産を可能にしているのが、銅線を手で巻く「巻き線技術」だ。手作業であるため、細かな仕様の違いにも柔軟に対応できる。
 モータの性能を左右する巻き線は、限られたスペースにどれだけ多く、かつ正確に銅線を収められるかが重要になる。機械では再現が難しい高密度で複雑な配線や磁石配列を、長年培ってきた現場作業者の技術によって実現している。
 顧客から求められるサイズや性能といった細かな要望に応えるため、試行錯誤を重ねてきた蓄積が、この手作業の巻き線に凝縮されている。
 さらに、同社では、設計から製造、検査までを社内で一貫して行っている。これにより、設計段階の検討内容を製造や検査に即座に反映できる。その結果、顧客の要望に応じた仕様調整や改良提案にも迅速に対応でき、単なる受託製造にとどまらず、顧客とともにモータ開発を進めることが可能となっている。

顧客の多様な要望に応え続ける姿勢とそれを可能にする技術力

 高い技術力を維持・向上させている背景には、人材育成の仕組みがある。
 社内には、卓越した技術を持つ社員を「技能者」として位置付ける制度があり、技能者が若手社員に対しマンツーマンで技術指導を行っている。 
 銅線の剥離やはんだ付けといった一つひとつの工程を細かく確認しながら進める指導は、技能の継承だけでなく、品質に対する意識そのものを次世代に伝えている。
 こうした取り組みの成果として、同社は5年前に航空宇宙産業で要求される厳しい品質基準を満たす「JISQ9100」認証を取得した。審査は非常に厳しく、この認証を得ていること自体が、高い品質管理能力と技術力の証明となる。現在では、国際的な取引条件としても有効に機能し、海外展開への道を切り拓いている。
 同社の製品棚には、これまで挑み続けてきた研究開発の歴史を示す数々の試作品が並んでいる。誰も作ったことのないモータに挑戦し、その過程で新たな技術を習得してきた積み重ねが、現在の競争力の源となっている。こうした特殊モータは、最初から狙って生まれたものではない。顧客の無理難題に一つひとつ応え続けた結果として形づくられてきたものであり、その姿勢と技術力こそが同社の最大の強みである。
 顧客の多様な要望に応え続ける姿勢と、それを可能にする技術力を背景に、同社は海外市場の開拓にも取り組んでおり、今後の展開が注目される。

(資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2026年5月30日放送)

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