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サーキュラーエコノミーへの挑戦~上田プラスチック株式会社<2026・05・13>

養蚕業からの事業転換

 上田プラスチック株式会社は、上田市に本社を構えるプラスチック成形メーカーとして1960年に創業した。
 もともとは養蚕業を営んでいたが、時代の変化を見据えてプラスチック産業へと事業転換。現在では自動車部品を中心に、生活や産業を支える多種多様なプラスチック製品を生み出す企業へと成長している。
 同社の中核技術は、自社による金型設計・製造と、高精度な成形・溶着技術である。
 プラスチック製品の品質を大きく左右する金型を自社でつくることで、製品開発のスピードを高め、複雑な形状にも迅速に対応できる体制を整えてきた。
 特に自動車のブレーキオイル容器「リザーバー」の製造では、成形機2台で上下の部品を別々につくり、その後、溶着機で一体化させる工程が特徴的だ。
 原料となるポリプロピレンは軽量で強度が高い反面、接着剤が効きにくく、溶着には高度な条件設定が必要となる。この難しい工程を安定して行えることが、同社の大きな強みである。

自社製造装置が進める自動化

 生産工程における自動化の推進もユニークだ。
 リーマンショックによる需要変動や、長期的な人材不足への備えとして、同社は早くから自動化技術の導入に踏み切った。
 現在では広い工場を実質1人で運用できるほど自動化が進んでおり、成形・溶着・組立・検査まで、ロボットが精緻に連動して動く。
 驚くべきは、これらの自動機のほとんどを自社で設計・開発している点だ。
 組立工程ではワーク取り出しからフィルター挿入、キャップ締めまで全自動で行い、同時に漏れ検査も実施。検査機やロボットアームも含め、装置の設計を担う若手社員たちが入社後に知識を身につけながら開発を進めている。
 完成した自動機が実際に稼働し、生産を支える姿を見ることが、社員の大きな励みになっているという。

バイオマスプラスチックで実現するサーキュラーエコノミー

 近年、同社の取り組みで特に注目されているのが、バイオマス複合プラスチックの開発である。
 地域の資源循環や環境負荷低減を目指し、長野県内で廃棄されてしまうクルミの殻や竹、カラマツなどを粉砕し、石油由来のプラスチックに練り込んだ新素材を開発した。
 配合率が高すぎると割れやすくなるため、適切な比率を見極めるには何度も試験を繰り返す必要があったが、自社の成形機を使ってすぐに試せる環境が大いに役立ったという。
 この素材を使って生まれたのが「バイオマスうちわ」や「バイオマスクリップ」などの製品だ。見た目や使用感は石油由来100%の製品と遜色なく、独特の風合いが人気を呼んでいる。
 地域イベントで配布を始めると、初年度の6000本から翌年には2万本に生産数が急増するほどの反響があった。
 さらに、使用後のうちわを回収し、再び成形して新たな製品に生まれ変わらせるリサイクルの仕組みも構築。地域素材を使い、地域で完結するサーキュラーエコノミーの理想形を示している。
 上田プラスチックは創業以来、「進化」と「深化」を掲げながら技術革新を続けてきた。
 高度な成形・溶着技術、自動化による安定生産、そして環境に配慮した新素材の開発。そのすべてが同社の競争力となり、未来に向けてものづくりの新たな可能性を切り開いている。

  • (資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2026年3月15日放送)

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