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鬼無里を大切に次代を作る、おやきのいろは堂<2024・05・26>

いろは堂の新たな顔「OYAKI FARM」

有限会社いろは堂は、長野市鬼無里に本店を置くおやきメーカーで、最近では、上信越自動車道長野インターチェンジ近くに工場併設店舗の「OYAKI FARM」をオープンした。

OYAKI FARMは、おやきの生産を拡大すると同時に、本店との差別化を図ることで新たな客層を取り込むことを目的に新設された。

建設に当たっては、おやきのポテンシャルを引き出すために、外部のクリエイターなどによる新たな視点を取り入れ、鬼無里本店との差別化を図った。

鬼無里本店が古民家風な造りであるのに対し、OYAKI FARMは2つの円が重なる、まるで美術館のようなデザインとなっている。

伊藤拓宗社長は「私たちがこのような新しい取り組みができるのは、鬼無里を中心とした地域に根付いたおやき文化があって、地道に品質にこだわったおやき作りを続けてきたという土台があるからなのです。だからこそ、原点である鬼無里本店の品質や思いなどはこれからも大切にしながら、本店とOYAKI FARMという2つの武器を持って、守りと攻めのバランスを取っていきたいと思います」と語られている。

生地を練り、手で丸め、油通しをしてから挟み焼き:

いろは堂のおやきは、1つ1つが手作りだ。

おやき生地は、小麦粉とそば粉にイースト菌を加えて練って作っている。創業当時がパン屋であったことから、その技術を生かした独自の製法だ。

生地を約1時間寝かせると1.5倍ぐらいに膨らむ。その生地を47グラムから48グラムに切り、具材である野沢菜などを包み込んでいく。方法は昔から続く「手丸め」で、生地と具材で93グラムから95グラムになるように1つ1つを丸めていく。

丸めたおやきは、焼く前に油通しを行っている。この方法も同社独自のもので、表面を油でコーティングすることで、冷めても柔らかいおやきに仕上がる。

油通しの後、アルミ板で挟んで230度のオーブンで焼き上げると、おやきが完成する。

OYAKI FARMでは、こうした光景をガラス越しに誰でも見学することができる。

また、おやき作り体験も行っており、手丸めで作ったおやきは美味しいお土産になっている。

鬼無里ブランドにファンが集う

OYAKI FARMは工場併設店舗だが、主な機能は製造工場だ。毎日1万個以上のおやきを製造しているが、焼き立てのおやきは急速冷凍し出荷用となる。

焼き立てのおやきをその場で味わえるのは、鬼無里本店である。ここでは設立当時から、焼き立ておやきを全種類、その場で提供するというスタイルを貫いてきている。

同社は1925年の創業で、来年100年を迎える。既述のように創業当時はパン屋を営んでいたが、特徴のある自社オリジナル製品を作らなくてはとの思いから、1960年代に入り、家庭料理として作られていたおやきを商品化した。以降、焼き立てを提供するというスタイルの積み重ねが、おやきの品質を磨き上げ、いろは堂ブランドを作ってきた。

高い品質に裏打ちされたブランドであるからこそ、市街地から外れた山あいの鬼無里の地でも多くのファンが足を運んでいる。

創業100年の絶え間なき挑戦

「新しい酒は新しい革袋に盛れ」という諺ではないが、OYAKI FARMでは、独自のおやき生地を使ったドーナッツやホットサンドなど進化系おやきにも力を入れている。

いろは堂のおやきの生地だけ食べたいという声に応え開発したのが、「オヤキジドーナッツ」だ。メープルシロップをかければ、コーヒーとよく合う。定番の粒あんおやきは、バターをプラスし「あんバタおやき」に進化した。おやき生地で作ったパンズに、ハムやチーズ、野菜を挟んだ「オヤキジホットサンド」も驚きの逸品だ。パンが発祥といういろは堂ならではの、進化系おやきの数々である。

また、今年の5月からは、パリの日本食を扱う店でもおやきの販売を始めている。

伊藤社長は今後の期待を次のように語られた。「フランスでは、現在、日本食、特におにぎりが大ブームとなっています。おやきもヘルシーな日本食として受け入れられる可能性は大きいと思っています。さらには、ヴィーガンやベジタリアンの需要も取り込んでいけるのではと期待しています」。

鬼無里という地域を大切にし、品質にこだわったホンモノを作り続けているからこそ、時代に合わせたさまざまな進化もホンモノになる。パリジャンやパリジェンヌが、ワイン片手におやきを頬張る日もそう遠くないように思う。

  • (資料)SBC「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2024年5月26日)

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