長野県経済・産業

利便性の代償<2019・08・19>

先日、近くの洋品店が店を閉じた。このところ近所でシャッターを下すお店が随分と増えている。少し前まで大型店の出店に伴ってという理由が目立っていたが、最近はそうとも限らない。しかも、その大型店でさえ客足が減っているようだ。

こうした中、売り上げを伸ばしているのがネットショップだ。長野経済研究所が県内消費者にネットショップの利用に関するアンケート調査を実施したところ、回答者の8割がネットショップを利用していることが分かった。

3か月間での利用金額では1から3万円程度が最も多く、購入物品では衣類がトップだった。国が発表している1世帯の衣類・履物の消費金額(1か月あたり)は、1万4,000円。これを踏まえると、各家庭の衣類の多くはネットショップで買われている可能性が高い。百貨店などで現物を確認して、ネットで安く買うという行動も増えているようだ。

ネットショップは安く、品数も豊富で、家まで届けてくれる。利便性という面で考えると、これほど良い仕組みはない。給料も上がらず、夫婦共働きとなれば、安くて、家に配達してくれるネットショップを使うのは道理だ。

ただ、店が減ることで、寂れてゆく街はどうしたものか。ネットショップが台頭すれば、シャッターを下す店はさらに増える。働き口が減り、街の魅力は失われ、若者の足は遠のき、人口減も加速する・・・。

買物の便利さと引き換えに、我々の住まう街がどんどんと廃れてもいいのだろうか。ネットショップがない世の中はもはや考えられないが、このような負の側面も忘れてはならない。先日閉店した洋品店の従業員は、その後どこかで働けているだろうか。

(初出)2019年8月17日読売新聞地域面「しなの草子」『利便性の代償』

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(初出)『利便性の代償』「しなの草子」2019年8月17日読売新聞地域面朝刊

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