長野県経済・産業

県内企業の宇宙機器産業への挑戦<2026.4.10>

広がる宇宙関連市場

 宇宙空間の利活用が急速に拡大しています。全世界の2024年における軌道打ち上げ回数は259回、搭載衛星数は2,873機と、19年に比べ、それぞれ2.5倍、5.8倍に拡大しています。近年は1回の打ち上げで多数の衛星を投入できるようになり、打ち上げ回数以上に衛星数の伸びが大きくなっています。
 宇宙産業は、大きく2つの領域に分けられます。1つはロケットや人工衛星、地上設備等のハードウェアおよび関連ソフトウェアの開発・製造を担う(1)「宇宙機器産業」、もう1つは、衛星データや通信インフラを活用して地上サービスを展開する(2)「宇宙ソリューション産業」です。
 本稿では、製造業としての裾野が広く、県内企業との接点も多い(1)宇宙機器産業に焦点を当て、優れた開発力・技術力を背景に、宇宙機器産業に参入している県内企業の事例を紹介します。

宇宙機器産業に挑戦する県内企業

<多摩川精機株式会社(飯田市)>
【主な宇宙関連製品: レゾルバ(角度センサ)、リアクションホイール、モータ、アクチュエータ、3軸FOGユニット(光ファイバジャイロ)など】
 現在、同社の技術領域は、観測・通信用デバイスなどの駆動部品にとどまらず、衛星の基盤機能を担う製品にまで広がっています。駆動部品では、通信アンテナや観測カメラ、実験装置を精密に動かすためのモータ、レゾルバ、アクチュエータを、基盤機能を担う製品では、衛星全体の向きを制御するリアクションホイールなどを供給しています。

<シナノケンシ株式会社(上田市)> 
【主な宇宙関連製品:リアクションホイール、ブロワ(送風機)】
 同社が取り組む製品は、衛星の姿勢制御に用いられるリアクションホイールや、人が宇宙空間で活動・居住する環境向けのブロワ(送風機)です。いずれも、地上用途で蓄積した技術を基に、材料選定や設計変更を加えることで宇宙向けに適合させています。特に、モータのコア部分は開発工数が多い領域ですが、既存の設計資産を転用し、開発のハードルを下げています。

<タカノ株式会社(上伊那郡宮田村)>
【主な宇宙関連製品:ロータリーソレノイド(メカニカルシャッター)、電磁バルブ】
 同社は、三菱重工業株式会社(東京都)から月周回拠点(Gateway)の居住空間用の電磁バルブを開発受託しました。これは、同社ホームページで発信していた製品情報をきっかけに引き合いが生まれ、開発につながったものです。電磁バルブは新規設計であり、人の居住空間向けの空気制御に関わる部品として、交換がきかない環境での信頼性、貴重な空気を漏らさないための気密性、さらに打ち上げコスト低減を意識した軽量化など、宇宙用途特有の要件への適合が求められています。

 宇宙というフロンティアへの挑戦には、自社の強みを客観的に再定義し、外部連携と情報発信によって取引主体を広げていくプロセスが欠かせません。宇宙機器産業に限らず、新市場や新分野を自社とは遠い世界とみなすのではなく、自社の核となる技術を見極め、それが生かせる接点を探っていくことが、企業を新たな成長領域へ押し上げる力となるでしょう。

・詳細は、経済月報4月号掲載のトピックス「県内企業の宇宙機器産業への挑戦」で紹介しています。ぜひ、ご覧ください。

(2026.4.10)

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