長野五輪から20年、開催によるプラス効果の実感はハード面とソフト面で違い

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最終更新日: 2018年2月28日

全体の約8割が長野五輪を記憶

 多くの感動と興奮を与えた平昌五輪は閉幕しました。日本選手団は13個のメダルを獲得し、これまで冬季で最多であった長野五輪の10個を上回りました。
 その長野五輪が1998年に開催されてから、今年で20年が経過しています。そこで当研究所は、1月に長野五輪に対する意識調査を行いました。開催から約10年後の07年12月実施の調査とも比較しながら、五輪に対する県内消費者の意識を改めて探っています。
 まず、長野五輪開催をどの程度記憶しているかについて尋ねると、「鮮明に覚えている」が21.7%、「ある程度覚えている」が55.7%となり、約8割は長野五輪を記憶している結果となりました(図表1)。10年前の調査と比較すると、五輪を「ある程度覚えている」という回答割合は1割程度減少しています。

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五輪開催のプラス効果は、ハード面は全ての項目で減少するも、ソフト面では上昇も

 次に、五輪開催に伴うプラス効果をハード面とソフト面のそれぞれについて尋ねました。ハード面のプラス効果は、「新幹線が利用できるようになった」が58.9%と最も高く、次いで「高速道路(上信越自動車道等)が利用できるようになった」が36.4%などとなりましたが、10年前の調査と比較すると全ての項目で回答割合が減少しています(図表2)。

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 ソフト面の効果は、「長野の知名度が向上した」が49.7%と最も高く、次いで「長野マラソンが開催されるようになった」(29.2%)、「一校一国運動の定着」(14.6%)などとなっています(図表3)。ソフト面も、10年前の調査と比較すると多くの項目で回答割合が減少した一方、「長野マラソンが開催されるようになった」は07年の24.8%から29.2%へと、「外国人の受け入れによりもてなし方を学ぶことができた」は07年5.0%から11.2%へと上昇しました。

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 これは、五輪開催を記念する長野マラソンが大きなイベントとして定着したことや、近年外国人観光客が急増している現状において、五輪という世界的なイベントの経験を通じて培ったノウハウを活かせる場面が増えていることなどが背景にあるが考えられます。
五輪開催は、インフラなどハード面以上に、イベントの定着やもてなしの心などソフト面において、息の長いプラス効果を実感していることがうかがえる。

五輪開催という資源を見つめ直す

 五輪の記憶や開催効果に対する実感は10年前と比較して薄れつつある一方で、五輪の開催を通じてインフラ面は整備され、多数の外国人観光客の受け入れノウハウなど、今となって効果の実感が高まっているものもみられています。
 五輪開催という大きな資源を改めて見つめ直し、これを活用しながら「NAGANO」ブランドの向上や知名度を高める取り組みが一層求められます。

  • アンケート分析の詳細は、経済月報3月号の「消費動向調査」に掲載しておりますので、ご覧ください。また、こちらでも紹介しております。

(2018.2.28)

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