公共事業の動向と入札制度改革

下げ止まりの兆しがみえる公共工事

 長野県内の公共事業は、長期にわたり減少の一途をたどってきました。県内公共投資額の推移をみると、1999年度以降から減少に転じ、現在はピーク時の4分の1の水準にまで低下しています。
 しかしながら、2004年度以降は低水準ながらも下げ止まりの兆しをみせ始めました。今年度は、国・県が経済対策を実施しており、前年水準を上回る発注量が予想されます。
 直近の県内公共工事保証請負額が、6月から5カ月連続して前年同期比プラスで推移した結果、4-10月の累計保証請負額は1,154億5,700万円で、前年同期比+20.9%と大幅な増加となりました。

見直されつつある入札制度

 県では、2002年に全国に先駆けて談合を防止するための入札方式を導入しました。その結果、県発注工事の平均落札率が大幅に低下し、採算を下回る低額落札を問題視する声が強まりました。
 そこで、2004年には、落札率を改善させるため、価格以外に工事実績や地元への貢献度などを評価して落札業者を決める「総合評価落札方式」を導入しました。2009年8月末時点では県発注工事の約4割へ導入を拡大させています。
 今年度からは、県では極端な低額落札を防ぐため、緊急経済対策と併せ、入札制度の見直しを進めています。
 2009年度の主な入札制度見直しの動きとして、
 ・緊急経済対策の発注工事の入札範囲を4ブロックから地方事務所単位の10ブロックに細分化
 ・失格基準価格(下回ると入札が無効となる価格)を現行の「予定価格の80%-85%」から「85%-90%」に引き上げ
 ・緊急経済対策でない通常工事の入札も地域要件を4ブロックから10ブロックに細分化
 ・測量・設計などの委託業務の失格基準価格を「予定価格の70%以上」から「80%-85%」に引き上げ、10月から実施
などの施策が実施されました。2009年8月末までの落札率(予定価格に対する落札価格の割合)は88.1%と、前年同時期に比べ5ポイント上昇しており、一定の成果がみられます。 

落札率改善するも、先行きは不透明

 一方、国の事業については新政権の発足に伴い、2009年度国土交通省の補正予算額のうち約4割が執行停止となりました。県内では、上信越道(信濃町インター-上越ジャンクション)4車線化工事の凍結、国道158号・奈川渡ダム周辺(松本市)の抜本改良工事の見直しなどすでに影響が出始めています。売上高全体に占める官公需の比率が高い建設業者への影響が危惧されます。今後は、国の政策動向をより一層注視していく必要があります。(2009.11.13)

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