共同研究(企業の有する実践的・総合的な技術を授業に反映する方法の研究)
研究の目的
「ものづくり」には電気技術だけではなく、機械技術、制御技術、ソフトウェア技術など、幅広い技術の総合力が必要である。本科でも総合的な技術力の育成を目指しているが、教師の専門から外れる部分もあり、必ずしも十分な教育ができている状況にはない。そこで、学校内で機械科と連携するとともに、総合的技術力を有する企業と連携し、「ものづくり」を総合的に学習できるカリキュラムを開発する。この活動では、企業の持っている技術を統合するノウハウや先端技術の導入による実践的な教育効果を期待している。また、PICマイコンロボットを製作し、各自のアイディアを盛り込んだ校内コンテストの実施を計画している。
共同研究企業 セイコーエプソン(株)
研究内容
昨年度から始まった企業連携(アドバイザリー委員会)の中で、機械科との相互乗り入れによるPICマイコンカーの製作を計画していたが、本事業の採用により、計画を引き継ぎ3年生の課題研究に導入した。
当初は文字を書くロボットの製作を予定していたが、本年度はPICマイコンによりDCモータを制御するロボットカーの製作とした。各自で応用・発展的な学習ができるよう、制御基板の半分をユニバーサル基板にした。(障害物回避ロボットのベースとして、課題研究で応用した生徒もいた。)
機械科でシャーシとギアボックスを製作したあと、電気科で制御基板を製作し、ロボットを完成させ(2週・6時間)、C言語による制御プログラミング(2週・6時間)を学習する。モータのスピードと回転方向をプログラムで制御することにより、シーケンシャルな動作をロボットにさせることを今年度の目標とした。
電子回路組み立て(ハンダづけ)技術の向上とシーケンス制御技術の習得を目標とした教員による企業研修をセイコーエプソン株式会社ものづくり塾で実施した。
電子回路組み立て技術については、ハンダづけの実技研修をしたのち、3級技能検定電子機器組立の実技作業課題に取り組み、シーケンス制御技術については、技能検定3級 機械保全(電気系保全作業)の有接点シーケンス回路組み立て作業に取り組んだ。
研究の結果
実習アンケートの結果(電気科3年)
5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
集中して授業に取り組んだ | 24 | 14 | 2 | 0 | 0 |
学習内容に興味がもてた | 20 | 10 | 10 | 0 | 0 |
学習内容が理解できた | 12 | 21 | 6 | 1 | 0 |
実践的な内容の授業だ | 20 | 15 | 5 | 0 | 0 |
技術社の指導は有効だ | 22 | 15 | 3 | 0 | 0 |
以下に多かった感想と特徴的な感想を紹介する。
・旋盤の使い方、けがきの方法が勉強になった。
・とてもわかりやすい指導だった。
・旋盤の刃の高さ調整が難しかった。
・電気の技術者も機械の知識が必要だと思った。
・機械実習は初めてだったのでいい経験になった。興味が持てた。
・mm単位の金属加工が難しかった。
・機械科との連携授業はいろいろな知識が身について良かった。
・金属加工は適当にやると適当なものしかできない。
考察
今回、機械科の生徒実習が約20名という大人数での展開であったため、進度については様々な意見があることは予想していた。マイコン制御学習については、必要と感じない生徒もいたが、機械の分野においても制御技術が不可欠であることもきちんと触れておくべきであった。自分の作ったマイコンカーがプログラム通り動作したときは感動しているようであった。
電気科の生徒については、1年生よりPICマイコンボードによるマイコン制御学習を行っているため、今回のマイコンカー製作はその応用として取り組むことができ理解も深まった。また、機械科で学習した旋盤をはじめとする金属加工はたいへん好評で、個々の生徒が取り組む課題研究にも反映させるなど、大きな学習効果が得られた。
今後の活動
クラフトマン21が採用される前からPICマイコンカーの設計に入っており、採用されなかった場合、生徒負担で製作しなければならず、ある程度の不都合(ノイズ)は覚悟の上で部品点数を少なくし安価に仕上げた。来年度はノイズ対策と入力(センサ)回路の教材開発を行う予定である。
また、課題研究の中で導入したこともあり、プログラミング学習に十分な時間が取れなかった。来年度は2年生の実習でマイコンカーを製作し、プログラミング学習も含め十分な時間を確保した上で、3年生の実習や課題研究での応用・発展的な学習について研究したい。
関連リンク
公共ソリューショングループ
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