地域企業の協力により進められている専門高校ものづくり人材育成の取組み(08.04.15)

地域の中で人材育成を推進するモデル事業

 この事業は、「工業高校等実践教育導入事業」という国の委託事業で、地域の中でものづくり人材育成の仕組みを構築することを目的として、地域の産業界と専門高校、行政等が連携して、学校への企業技術者の講師派遣、生徒の企業実習、教員の企業研修、教材開発、地域の小中学生向けのものづくり教室等を行うことにより、専門高校の実践的な人材育成を応援する取組みです。
 平成19年度から3年間、地域の産業界・専門高校・行政が協働して教育プログラムを開発、実証する地域に対して経済産業省と文部科学省が共同して(文部科学省事業名:ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業)支援を実施しており、全国で40件の応募の中から長野経済研究所など23件の事業が採択されています。(関東経済産業局管内では、栃木県、埼玉県、千葉県、山梨県も採択されています。)

長野県内で展開されている事業内容

 長野経済研究所と長野県教育委員会が共同して、「長野県版ものづくり人材育成システム-産学地域との協働で次代を担う産業人を育む-」という事業名で推進しています。
 「長野県産業の特色である電子部品製造技術と精密加工技術を中心に、木曽地域の伝統工芸なども組み入れて、技術特性に合わせた実践的な教育プログラムを開発すること」、また、県内企業のニーズである「商品開発ができ、マーケティングにも強い若手技術者の育成を図ること」が目標です。
 県内専門高校では、実践的な技術向上、企業現場での経験による社会性の向上、将来地域企業を支える人材の育成などが課題となっており、この事業も活用して解決に向けて努力しています。
 一方、問題解決力のある若手の技術者を育てたい、地域産業界で活躍できる人材を効果的に育てたい、地域連携による人材育成に積極的に協力したいという多くの県内企業から協力を得ています。
 県内のモデル校は、長野工業高校、駒ヶ根工業高校、木曽青峰高校、池田工業高校、東京都市大学塩尻高校の5校で、各校とも意欲的に事業に取り組んでいます。

平成19年度の事業成果と今後の見通し

 平成19年度は5校全体で、延べ120日にわたり生徒の企業実習が行われました。参加生徒数は342名で、生徒を受け入れた企業・事業所は76社に上りました。また、5校に対し30名の企業技術者が派遣され、延べ47日、151名の生徒が参加して、技術者を先生とする実践的授業が行われました。
 企業実習に参加した生徒へのアンケートによると、集中して実習に取り組めた生徒83.0%、習得した技術・技能に興味の持てた生徒70.6%、実習内容が理解できた生徒75.2%、実習により技術・技能が習得できた生徒61.9%、将来地元で働き、地域を支える人材になりたいと思った生徒53.8%などの結果となり、多くの生徒が興味・関心を持って取り組めたことがうかがえます。
 実習を受けた地域企業に今月から就職した生徒も5名おり、国の技能検定3級にも5名合格するなど、この事業をきっかけに地域企業と高校の連携もさらに深まりを見せています。
 2年目を迎える平成20年度も、昨年度と取組みを上回る事業を展開していきたいと考えており、地域企業ネットワークとの連携により、年間を通して生徒・教員それぞれによる企業実習、企業からの技術者派遣、地域商工団体との連携協力、生徒が実際の現場を体験できる実践的学習を取り入れられるよう、長野県教育委員会と長野経済研究所では全力で事業を支援していきます。

(2008.4.15)

関連リンク

このページに関するお問い合わせ

公共ソリューショングループ

電話番号:026-224-0504

FAX番号:026-224-6233