社員もお客様もビールで幸せに。ヤッホーブルーイング<2022・07・29>
コロナ禍でも売り上げを伸ばす
軽井沢町にあるヤッホーブルーイングは、「よなよなエール」など個性的なクラフトビールで有名なビールメーカーで、なんと19期連続で増収を更新している。
コロナ禍で宴会需要が激減したために苦境にあるアルコール業界において、同社は巣ごもり需要を上手く捉え売り上げを3割も伸ばしてしまった。
「ちょっぴり贅沢なビール」というポジションが、巣ごもり需要(家飲み)にマッチした。
そして、スーパー、コンビニ、そしてネット通販など同社が開拓してきた販売チャネルが、このチャンスをものにした。これらのチャネルがなければ、家飲みをしたいという人にビールを届けることは到底できなかっただろう。
中小企業ゆえのネット通販へのチャレンジが、見事に花開いたものだ。
お客さまからファンに
同社は、ビールを開発する際には、どんなお客様がどのようなシーンで飲むビールかまで絞り込み作り上げる。
そのために、お客様の声を徹底的に聞き、真のニーズを突き止める。
刺さったお客様はファンになる。
尖っているものは味ばかりではない。ネーミングや缶のデザインも唯一無二のものばかりだ。
「よなよなエール」を筆頭に、「インドの青鬼」「水曜日のネコ」「東京ブラック」「山の上ニューイ」「僕ビール君ビール」等々、最新作は「裏通りドンダバダ」だ。
この個性的なハード(ビール)に豊かなソフト(イベントなど)を加えたテンコ盛りな商品が、お客様に提供されている。
井手直行社長は「ビールを中心としたエンターテイメントを提供する会社」なのだと同社の立ち位置を語ってくれた。
この「テンコ盛りなエンターテイメントにファンが集っていく」という好循環ができている。
ファンを創る社員の凄い力
ファンを創るのはこの商品力に加え、お客さまを魅了する「社員の力」が大きい。
同社が得意とするネット通販は店舗販売のようにお客様と直接に相対することはないが、究極の対面型の商売である。
届いた商品に対しての声がネットを通じてたちどころに企業の元に届けられ、その際の対応の如何が商品や企業の評価を左右するからだ。
「クレームはビジネスチャンスの宝庫」とも言われるが、同社はクレームに対して、お客さまの期待を超える感動を呼び起こすまでの対応を行うことを徹底している。
これが更なるファンづくりにつながっている。
様々なお客様の声に臨機応変な対応ができるよう社員の能力が磨かれているのだ。
「働きやすさ」「働きがい」の整備こそ
同社はGreat Place to WorkR Instituteが実施する「働きがいのある会社」ランキングで、6年連続ベストカンパニーに選ばれている。
ここに「ファンを創る社員の凄い力」の秘密があるように思う。
先のコラム「深刻化する地域企業の人手不足問題、どうする!」にも書いたように、「働きやすさ」「働きがい」がある会社が今求められている。離職を防止できることはもちろん、「働きやすさ」「働きがい」による幸福感の高まりが、仕事での高い能力の発揮を可能とするからだ。
もともと、同社が掲げる企業のミッションは、「ビールに味を!人生に幸せを!」というものである。社員が幸せに働くことなく、お客様に臨機応変な対応をして感動を与えることなどは不可能であると宣言をしているミッションのように思う。
井手社長は将来の夢を、「ビールを通して世界中の人々を幸せにしたい」と語られている。
争っている国々も「よなよなエール」で乾杯をしたのならきっと和解ができるのでは・・・などと願いながら今宵も「乾杯」!
(資料)「明日を造れ!ものづくりナガノ」(2022年7月24日放送)
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