深刻化する地域企業の人手不足問題、どうする!<2022・07・29>
深刻な人手不足
企業の人手不足感が強まっている。
長野経済研究所が四半期毎に行っている業況アンケート調査によると、2022年4~6月期の「雇用水準DI」(現在の雇用が「過剰」とする回答割合-「不足」とする回答割合)は全産業でマイナス36.7%と人手不足の度合いを増している(図表1)。一時期「過剰」に振れた時期もあるが、新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言によるものであり、長野県内はここ10年ほど慢性的な人手不足の状況にあると言える。
また、長野労働局の「最近の雇用情勢」から、「新規常用求職者の態様別状況」をみると、在職者、すなわち職に就きながら他の職を探す人が前年と比較して増加している(図表2)。つまり、勤めている今の会社を辞めたいと考える社員が増えているということだ。
さらに、首都圏では、コロナ禍を経てフルリモート採用を実施する企業も出始めており、長野県に住み続けながら所在地が首都圏の企業にも勤められるようになってきている。
これらの趨勢をみると、県内企業の採用難、人手不足は今後ますます加速することが予想される。
社員が辞めない会社になるには
どうしたらいいのだろうか。それは、社員が辞めない会社になることだ。
給料が隣の企業に比べ安く、不況の都度人員整理が行われている。介護や育児が必要になっても休むこともままならず、仕事をしても何の達成感もない。このような会社では離職が後を絶たないことは容易に想像できる。
つまり、社員が仕事をする中で、「働く安心」や「働きやすさ」、「働き甲斐」を感じることが定着のための必要条件となろう。
「働く安心」というのは、解雇されない安心というのが基盤となるだろう。そして、給料は業界平均以上、安定しており、生活が維持できる安心を会社が提供できることだ。
「働きやすさ」は、育児や親の介護が必要になった際には、柔軟な働き方が気兼ねなく選択できること。そして、会社の中は、家族的でぬくもりがあり、言いたいことが言い合えるような職場風土があることだ。
また、「働き甲斐」は、頑張ったら褒めてもらったり、報われる仕組みがある。成長できる環境や、成長を支えてくれる人材育成、研修制度が整備されている。社員の意見が経営に反映されるような仕組みが整備されていることなどだ。
要するに会社で働くことを通じて「幸福感」が得られることが、「社員が辞めない会社」となる王道ではなかろうか(図表3)。
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