全産業の足もとの業況感は3期連続改善
当研究所では四半期ごとに長野県内企業の業況感を調査するため、県内企業約600社を対象に「四半期別業況アンケート調査」を実施しています。今回は4月17日に公表した2026年1~3月期調査の結果をご紹介します。この調査は、各企業経営者に自社の業況を「良い」、「どちらでもない」、「悪い」で回答してもらい、業況判断DI(業況が「良い」と答えた企業割合-「悪い」と答えた企業割合、%ホ゜イント)で業況感を表します。
今回の企業の業況感は、全産業のDIがプラス1.7と前期から3.4ホ゜イント上昇し、3期連続の改善となりました。製造業と非製造業では、製造業のDIがプラス4.6と前期に比べ6.1ポイント上昇し、4期連続で改善したほか、非製造業もマイナス0.5と同1.3ポイント上昇し、2期ぶりに改善しました。
製造業の業況感が22年7~9月期以来のプラス水準へ
製造業の業況感は、コロナ以降、マイナス水準が続く状況が多くありましたが、今回はようやくプラス水準に転じました。改善した背景には、人工知能(AI)サーバー向けの需要がみられたほか、米国向けを中心にハイブリッド車(HV)関連の部品受注が底堅く推移した点が挙げられます。また、この間、円安が進んだことで一部の輸出企業ではその恩恵もありました。
非製造業では、建設業は民間工事を中心に底堅かったほか、観光関連業などで国内、海外からのスキー客が増加、卸・小売業では価格転嫁が進んだことなどから業況感がわずかに改善しました。
ただ、3月以降の中東情勢の影響により、既に一部の産業では価格上昇や材料の供給不安の問題が生じ始めています。
先行きは製造業・非製造業ともに大幅な悪化見通し
26年4~6月期見通しでは、一転して全産業の業況判断DIがマイナス18.8となり、前期に比べ20.5ポイントの大幅な低下見通しとなっています。特に製造業は、マイナス24.8と同29.4ポイントの大幅な低下です。来期の製造業は、IT関連向けの受注で持ち直す動きも予想されますが、レアアース等の輸出規制のほか、中東情勢の緊迫化に伴う不透明感の高まりなどが企業マインドを大きく下押しする見通しです。
同様に非製造業もマイナス14.4と同13.9ポイントの低下見通しです。観光関連業では春の行楽シーズンを迎え、国内客やインバウンドの需要は底堅く推移するものの、物価高に伴う消費者の節約志向の高まりが財布の紐を締めてしまうことへの懸念もあります。
今後は、中東情勢の行方や原材料価格の動向に加え、個人消費を左右する賃上げの動向なども注目されます。
(初出:2026年05月16付 南信州新聞「八十二経済指標」)