異例の日米協調介入
2026年7月末に実施された日米協調による円買い介入は、2011年以来の異例な措置であり、単なる為替対策にとどまらず、円安進行が日本の期待インフレ率や長期金利を押し上げ、その影響が米国金利へ波及する事態を回避するという日米共通の政策意図があったとみられる。日銀による利上げだけでは実質金利の低さや中立金利の制約などもあって円安の是正には限界がある中、為替変動への対応を金融政策のみに委ねることを避ける狙いがあったと推察する(図表)。
(図表)ドル円レートと無担保コールO/N物金利
AI投資ブームによるインフレ圧力
26年7月に日銀から公表された展望レポートでは、基調的な物価上昇率の上振れリスクに言及する一方、これまでの利上げが経済や金融環境へ及ぼす累積的な影響も重視しており、追加利上げの選択肢を維持しながら慎重な政策運営を行う姿勢を示した。
また、AI関連投資の世界的な拡大が短期的には総需要を押し上げ、新たなインフレ要因となる可能性についても言及している。特に米国では、設備投資の増加に加え、資産価格上昇や賃金上昇を通じてインフレ圧力が高まる可能性があり、FRBの金融政策運営への影響にも注目が必要である。
次回の利上げは
国内金融機関への影響や金融環境の変化を踏まえると、日銀による次回の追加利上げは、9月短観や金融機関の半期決算を確認したうえで、10月の金融政策決定会合で実施される可能性が高いと考えられる。ただし、米国における利上げ観測の高まりや、それに伴う為替市場の変動次第では、9月会合での前倒し利上げも選択肢となり得る。今後は日米の金融政策のみならず、AI投資に起因する世界的なインフレ動向や米国の賃金上昇リスクが、為替・金利市場を左右する重要な論点となろう(詳細は関連ファイル内のレポートをご覧ください)。