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日本経済:名実ギャップ拡大をどうみるか~マネーの視点を取り入れて考える~

名実ギャップ拡大の構図

 足元の日本経済では、実質成長率の停滞と名目成長率の堅調さが併存し、統計上の改善と家計の景況感との乖離が拡大している。実質GDPは足踏みが続く一方、GDPデフレーターの上昇により名目値は押し上げられ、企業収益や株価などは改善している。しかし、その裏側では家計の実質購買力が圧迫され、超過貯蓄の取り崩し等によって支出が維持されている面もある。また、マーシャルのKの急低下が示すのは、実体経済の過熱ではなく、物価上昇が既存マネーの購買力を吸収する「見かけの加速」である(図表)。賃金コストの価格転嫁や企業のマークアップ維持に支えられた名目拡大が進む一方で、生産性向上を伴う好循環は十分に形成されていない。

細る国内循環と政策課題

 企業部門では、手元流動性の積み上がり後にマネーが動き始めているものの、配当・株主還元や海外投資への流出が目立ち、国内の供給能力強化に結び付く投資が伸び悩む。供給制約や将来成長期待の弱さが国内投資を抑制し、結果としてマネーが海外・金融市場へ偏る構図が固定化しつつある。今後、実質賃金の改善が個人消費の回復を促すとしても、国内循環の回路が修復されなければ、むしろ対外資産への資金移動を加速させる恐れがある。名目拡大が実質的な成長へとつながるためには、生産性向上を伴う賃上げや供給側改革、国内の実需へ資金を還流させる制度設計が不可欠となる(詳細は下記の関連ファイル内のレポートをご覧ください)。

(図表)マーシャルのK 

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