年末の消費動向調査から2025年を振り返る<2025.12.22>
年末恒例の消費動向調査
2025年も早いものであと10日ほどとなりました。今回は、毎年恒例で長野経済研究所が年末に県内在住の消費者600名を対象にインターネットで実施した「消費動向調査・年末調査」の結果を中心に、今年1年の出来事や景況感などについて振り返ってみたいと思います。
長野県の今年の漢字は「高」
まずは、「今年を表す漢字一文字」です。全国では各地で発生した熊の出没や被害などを反映して「熊」が1位でしたが、長野県内では「高(たかい)」が1位となり、2位が「米(こめ)」でした。なお、「高」は前年の2位から今年は1位となり、「米」は前年ランク外からの登場でした。これらは米の値上がりなど物価高が続いたことを表していますし、さらに「高」は史上初の女性首相となった高市総理にちなんだ字でもあります。なお、3位が「耐(たえる)」で、4位は同率で「忍(しのぶ)」と「苦(くるしい)」となり、この3つは毎年上位に登場する常連の漢字です。物価高などにより、苦しい生活に耐え忍ぶといった受け止めが引き続き多いようです。ちなみに、全国で1位だった「熊」は長野県でも9位にランクインしました。
次に、今年1年で印象の強かった出来事を尋ねると、1位は「全国的にクマによる人への被害が拡大」で、4割以上の方が回答されました。2位は「高市早苗氏が初の女性首相に選出される」、3位は「JR長野駅前で男女3人が刃物で襲われ、1人が死亡」という回答結果でした。特に1位と3位の出来事は私たちのすぐ身近で発生した事件でもあり、強い衝撃を覚えた方が多かったと思います。以下には、コメの価格高騰を抑制するための備蓄米の放出や、2万品目を超える食品が値上げなど、生活に直結する話題が上位に選ばれた一方、大阪・関西万博の開催や、米大リーグでドジャースがワールドシリーズ連覇、大谷翔平選手が4度目のシーズンMVP獲得など、今年ならではのニュースやスポーツの話題にも多くの関心が寄せられました。
今年の景況感は「悪化した」が6割超
2025年の「世の中の景気」について聞くと、「悪かった」が29%、「やや悪かった」が34%となり、合わせて6割を超える方が景気は「悪化した」と回答しました。ちなみに、昨年も同様に6割の方が「悪化した」と回答していましたので、賃上げが行われた一方で物価の上昇や高止まりなどもあり、県民が感じる景況感は改善に至っていないとみられます。
2026年の景気見通しについては、「良くなる」、「やや良くなる」の改善を見込む回答が17%だったのに対し、「どちらともいえない」が43%、「悪くなる」と「やや悪くなる」が合わせて40%となり、現状維持もしくはさらなる悪化を見込む声が半分以上を占めました。こうした背景には、世界的な政治・経済の不透明な状況や長期化・混迷化する海外の軍事衝突に加え、物価の高止まりの継続や痛ましい災害・事件など、私たちの生活に関わる不安要素が数多くあることが考えられます。
消費を活性化させる魅力的な商品・サービスの流行に期待
来年以降、経済が回復していく上で消費を活性化させる魅力的な商品やサービスの登場が期待されますが、今回の調査では来年流行しそうな商品・サービスを尋ねましたので紹介します。
まずは、人工知能(AI)を活用した動画作成などのアプリや、AIによるカウンセリングや学習支援、AI搭載の家電やロボットなど私たちの生活をサポートしてくれるAI関連製品が注目されています。次に、健康や時短などのニーズが高まっている食品関連では、輸入米やカロリーオフのチョコレートに加え、自然解凍が可能でお弁当にも使いやすい新しい冷凍食品などが挙げられました。さらに、クマよけ、暑さ対策用品といった生活グッズのほか、来年行われる野球のWBCやサッカーワールドカップなどイベント関連の消費も期待されています。
2026年は消費環境の改善とともに、明るい話題にあふれる1年になることを願います。
2025年12月22日放送 SBCラジオ「あさまるコラム」より
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