開幕まで1年を切った大阪・関西万博<2024.4.22>

1年後に迫った大阪・関西万博

 来年の4月~10月に開催される大阪・関西万博の開幕まで残り1年を切りました。現在急ピッチで準備が進められていますが、これに関しては工期の遅れや建設費の増加など以前からさまざまな問題点が指摘され、本当に予定通り開催できるのかと不安視する方も少なくないと思います。
 今回は、この万博開催に向けた現状や私なりの期待感などを紹介したいと思います。

パビリオン建設工事の遅れが問題に

 まず、改めて万博の概要ですが、開催期間は2025年4月13日(日)~10月13日(月・祝)の半年間で、会場は大阪市のベイエリアに作られた人工島・夢洲(ゆめしま)です。水族館の海遊館やUSJなどがあるエリアの沖合に位置します。世界から約160の国や地域が参加・出展を予定していますが、2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」の参加国は約120カ国でしたので、それよりも約40カ国増え非常に大規模なものになっています。
 そうしたこともあり、開催準備においては各国のパビリオン建設などの工期遅れが大きな問題となっています。例えば、各国が独自に設計・建設するパビリオン「タイプA」は当初60カ国が建設を予定していましたが、難解なデザイン性や資材価格の高騰などから日本の建設業者との契約がまとまらず、数カ国が簡易に建てられるタイプや、複数国で共同使用するタイプに移行しました。しかし、それでもタイプAで既に着工したのは14カ国ほどで、残りはこれから着工、もしくは建設業者も決まっていないという状況です。このままだと、工期が間に合わずに参加を断念したり、開幕後も工事を継続せざるを得ない国が増えそうです。
 他にも、現場で作業する方々の人手不足や時間外労働の上限規制への対応などが工期遅れの要因とみられています。さらに、万博を巡る大きな課題として費用の増加も挙げられ、会場整備費だけでも当初見込みの1250億円が2度の見直しを経て最大2350億円と2倍近くに膨れ上がっています。運営費も当初見込みの1.4倍に増えるなど、見通しの甘さが指摘されています。

機運を高めるためにも丁寧な説明と情報発信を

 こうした問題点が注目されてしまうこともあってか、万博に行きたいという国民の機運も高まっていません。23年12月の全国調査では万博に行きたいとの意向を示した割合がおよそ3割にとどまりました。しかも、21年度は約5割、22年度は約4割と年々減ってしまっています。
 開催に向けた機運を高めるため、国や大阪府・市では積極的なPRを展開しています。しかし、さまざまな問題点が指摘される中、ただ期待感を煽るだけではなく、課題への対応状況やリアルタイムでの建設・準備に関わる丁寧な情報発信と説明が必要ではないでしょうか。
 また、もちろん「何を見たいか」ということも重要であり、各国や企業などの展示の見所をはじめ、「現地に行って見るべき、体験すべき価値」を早く、分かりやすく伝えて欲しいと思います。

万博を家族の思い出に

 さて、私自身の万博に対する意向ですが、ぜひ家族で訪れたいと考えています。最先端の技術や各地の文化に基づく展示、万博会場のユニークな演出・雰囲気などを直に味わいたいという思いとともに、一生の思い出に残るような大イベントを家族で体験できたらと思います。
 実は21年の東京五輪でも同様の思いからチケットを取っていたのですが、ご存知の通りコロナのため無観客となってしまいました。当時小学生で、五輪を生で観戦できず残念がっていた息子が今度の万博にはぜひ行きたいと言っている事もあり、その想いに何とか応えられればと思います。
 最後に、長野県にとっては、国内外から万博に訪れる人たちの周遊観光先となるよう、先月の延伸開業により長野・関西間の移動がしやすくなった北陸新幹線などもPRしながら信州の魅力を幅広く発信していくことが重要です。世界の目が関西に注がれる中、信州ならではの自然環境や豊かな食文化などを発信し、万博の経済効果を長野県にも波及させたいですね。

 

2024年4月22日放送 SBCラジオ「あさまるコラム」より

 

 

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