最先端の栽培技術によって作られた安全・安心・高品質なトマト
産業用ガスメーカーのエア・ウォーター(株)が2009年に設立した(株)エア・ウォーター農園は、北海道札幌市に本社を置く農業法人です。同社の安曇野菜園は、11年に創業を開始し、約5haのガラスハウスでトマトを栽培しています。
同園は、食品安全・労働安全・環境保全等の基準を満たした証であるASIAGAP(アジアギャップ)、GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)認証を取得しており、安全・安心で高品質な野菜づくりを行っています。
ほどよい甘さとさわやかな酸味
イチ押しは、冒頭で紹介したトマトです。ミニトマトや大玉トマトなど計4種類のトマトを栽培し、年間約1,700トンの生産量を誇ります。ほどよい甘さとさわやかな酸味のバランスがとれた味わいが特徴で、日持ちも良く、大手コンビニエンスストアやスーパーなどからの引き合いが年々増加しています。
最先端の栽培技術により栽培の安定化を実現
高品質のトマトを提供できる背景には、その栽培環境があります。栽培はビニールハウスに比べ頑丈で天候に左右されにくいガラスハウスの中で行われます。光の透過率が高いガラスハウスは、採光性に優れ、豊富な日射量を必要とするトマトの栽培に適しています。また、トマトの受粉には受粉用の蜂を使用しており、安定した着果を実現しています。
さらに、複合環境制御システムにより、ハウス内外の天候データや環境データを計測し、トマトの生育ステージに合わせて、ハウス内の温度・湿度・給水・施肥量などを自動制御しています。こうした最先端の栽培技術によって生育に最適な環境を維持することで、年間を通して質の高いトマトを安定して栽培することが可能になっています。
(左)同園が栽培・販売するミニトマト。ほどよい甘さとさわやかな酸味のバランスがとれた味わいが特徴です(右)約5haの広さを誇り、年間約1,700トンのトマトを栽培しているガラスハウス
環境への配慮と地域との共生に向けて
さらに同園は、エア・ウォーター(株)が16年に同園敷地内に建設した木質バイオマス発電施設を活用することで、地域の森林資源を有効活用し、環境負荷の小さい持続可能な農業を実現しています。
同施設は、長野県森林組合連合会などから地域の間伐材を購入して施設内の工場でチップ化し、チップを蒸し焼きにすることでガスを発生させ、それを燃料ガスとしてエンジン発電機を駆動させ発電しています。発電過程で発生する廃熱は、LPガスボイラによる熱供給を補う熱源として使用しています。また、発電時に発生する二酸化炭素は、不純物を除去した上でハウス内に供給し、トマトの光合成促進に利用しています。
「今後も、環境への配慮と地域との共生を図りつつ、自社が保有する技術を活用しておいしく高品質のトマトを提供していきたい」と二木知久菜園長は語ってくれました。
同園が行う木質バイオマスのガス化発電の図式。発電設備から排出される熱と二酸化炭素をトマト栽培に利用することで、農業コストの削減ならびに持続可能な農業事業の促進につなげています
産業調査
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