強度と耐久性を兼ね備えたハイグレード集成材「信州 唐松丸®」
小県郡長和町に本社を構える齋藤木材工業は構造用集成材の総合メーカーで、丸太の仕入れから製造・加工・建方までの一貫体制を強みとし、木造建築物の構造設計も行っています。
長野県内唯一の集成材メーカーとして、1957年の設立以来培ってきた高い技術力を生かし、一般住宅から大型建築物に至るまで数多くの建築物に集成材を提供してきました。また、高層ビルや大型建築物に対応できる耐火部材の開発・製造にも取り組んできており、都市部での木造ビルの建築実績も豊富です。
長野県産カラマツを使用した集成材
同社のイチ押しは、強度と耐久性を兼ね備えたハイグレード集成材「信州 唐松丸®」です。
集成材とは、複数の木材を集め接着剤で貼り合わせて作られる人工の木材のことで、品質や強度のばらつきが少ないなどの特徴があります。集成材は造作用と構造用に分けられ、同社は建物の柱や梁、土台として利用される構造用集成材を手掛けています。
同社が製造する集成材は全て国産材から作られていますが、その8割が長野県産のカラマツです。長野県は人工林の半分以上をカラマツが占めており、同社は、地元の豊富なカラマツを有効活用するべく、「信州 唐松丸®」とネーミングすることでブランド化を図っています。
カラマツ材はスギ材やヒノキ材よりも強度・耐久性が優れている一方で、樹脂成分が多く、しっかり乾燥しないと建築後に反りや変形が生じる難点があります。同社は、薬品を使わない特殊な脱脂・人工乾燥技術を導入し、丈夫で優れた集成材を開発することで、「信州 唐松丸®」ブランドを確かなものとしています。
自社ブランドの集成材「信州 唐松丸®」。厳選した信州産唐松のみを使用し、唐松集成材強度等級最高ランクのE 105-F300 を実現しています
高品質の薪製造も手掛ける
さらに、集成材の端材を有効活用するため、2022年から薪製造・販売事業を始めました。カラマツを加工する過程で、木材の中心部分は集成材になりますが、残りの部分(約40%)は端材となります。従来、こうした端材は製紙用チップなどとして安価に販売していましたが、付加価値を高めるため高品質の薪として製造・販売する事業を立ち上げました。同社の薪は入念に脱脂乾燥を施しているため含水率が低く、着火が容易で火力も強いなどの特長があり、県内のキャンプ場を中心に需要が拡大しています。
豊かな森林資源を次世代につなげたい
同社が手掛ける集成材事業の根底にあるのは、カラマツをはじめとする人工林の有効活用を通じて森林資源の付加価値を高め、緑の山を次世代に残していこうという思いです。木材需要が増加すれば、木を切り、そこに新しい苗を植えて育てる、つまり持続可能な林業を実現することができます。
「今後も、長野県の豊かな森林資源を次世代に残すべく、地元のみならず都市部にもカラマツを使った木造建築物を数多く建てていきたい」と齋藤健社長は思いを語ってくれました。
(左上)長和町役場(右下)水戸市民会館(茨城県水戸市)の内部 同社の集成材は、一般住宅から大型建築物まで県内外問わず数多くの木質建築物に使用されています
産業調査
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