3次元モデルを活用し、品質と生産性の向上に大きく貢献する設計手法「BIM」
長野市に本社を置く(株)エーシーエ設計は、建築物の企画・構想から設計、積算、監理、アフターフォローまでをワンストップで手掛ける総合設計事務所です。同社は、1970年の創立以来、長野県内はもちろん、北関東や北陸・信越地区でトップクラスの実績を積み重ねており、産業施設や商業施設、庁舎・公共施設などを中心に年間で100件以上の案件を手掛けています。
BIMで設計品質を向上
同社のイチ押しは、BIM(Building Information Modeling)という設計手法です。コンピューター上に3次元の建物モデルを作成し、使用する材料・部材の仕様・性能やコストなどの建物属性情報を与えることで、画面上でさまざまなシミュレーションを行えます。
BIM は、3次元モデルを構成する建物のデザインや構造、設備など全てのデータが連動するため、設計過程で修正を行えば、平面図や立面図などの設計図面、面積表などの計算表が連動して自動的に修正されます。同社はBIM を活用することで、設計や施工上の不整合を減らし、結果的に工期短縮によるコスト削減につなげるとともに、施主に3次元モデルを見てもらうことで、スムーズに情報を共有し円滑な合意形成を行っています。
BIMを用いて設計を行うことで、風環境や温熱・気流シミュレーション・採光・熱負荷などエネルギーの使用を最適化し、費用を最小限に抑えることができます
BIMをいち早く導入
現在国は、人手不足問題などに対応するため建設業界におけるBIM の活用を推進しています。ただ、BIM の習熟には長い時間を要し人材育成にかける業務負担が大きいことや、専用ソフトの導入・維持管理にコストがかかるなどの理由から海外に比べ日本での普及は遅れています。こうした中、同社は他社に先駆けて2012年に専用ソフトを導入しました。導入後、数多くの設計業務でBIM を活用することで、ノウハウを蓄積するとともに、運用に精通した人材を数多く育成してきました。その結果、現在では設計部に所属するほとんどの従業員がBIM を使いこなせるようになっており、海外拠点のベトナムやミャンマーに保有しているBIM センターを国内案件のオフショア先として活用しています。
エネルギーコストの最適化を実現
BIM モデルを活用し、日射や冷暖房の環境シミュレーションを行うこともでき、年間の光熱費を効率的に計算することで、エネルギーコストを最適化することができます。同社は、こうしたBIM の特性を生かして、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間のエネルギーコストをゼロにすることを目指したZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の設計も手掛けています。これまで、幼稚園や庁舎、企業のオフィス、銀行の支店などの実績があります。
小林宣範社長は「今後も新しい技術を追い求め価値の高いものづくりを目指しながら、持続可能な社会づくりに貢献していきたい」と語ってくれました。
当社が設計した建築物。自然環境や地域社会に調和した「環境の中の建築」を追求して設計しています
産業調査
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