躍動する信州のITカンパニー マリモ電子工業株式会社
代表 清水 久夫 |
住所:上田市諏訪形1071 |
当社のコア技術・強み
当社は、電子回路やソフトウェアの受託開発専門企業として創立し、44年になります。これまで、FAや通信、計測、インフラ、民生など、さまざまな機器を開発してきました。
近年特に力を入れているのが、デジタル信号処理と人工知能(AI)画像解析です。前者では、モデルベースデザイン(以下、MBDといいます)と呼ばれる、システムをモデリングした上で性能・機能をシミュレーションで検証し、モデルから自動コード生成して実装する手法を得意としています。この手法は、国や大手企業の研究部門等の高難度な案件の開発に効果を発揮しています。また後者では、農作物の害鳥をAIで認識し、ドローン等で自動追い払いをするシステムを手掛けています。このシステムでは、ぶどう棚の葉のような複雑な背景において、AIによる鳥の検出精度の高度化に取り組むとともに、充電も含めた完全自律ドローン飛行による追い払いを実装しています。
コア技術の活用事例
コア技術の習得には、長野県産業振興機構の補助金事業を活用しています。2022年度は、MBDを利用したソフトウェア無線機(以下、SDRといいます)による「Wi-Fiモニタリング端末」を開発しました。SDRは変復調部分※がデジタル化されプログラマブルになっており、原理的にはAMラジオから5Gまで多様な無線機を実現できます。この事業では、さまざまな無線アルゴリズムの実装が可能な汎用SDRボード(写真上)を開発し、一般に公開しています。
また、21年度の同補助金を利用してAI自動鳥追い払いシステムのベースを開発しました。シャトー・メルシャン椀子ワイナリー(上田市)のぶどう畑を実験圃場として借用し、自動ドローンによる鳥の追い払い実験をしています(写真下)。この成果により農林水産省系の生物系特定産業技術研究支援センターが実施する「イノベーション創出強化研究推進事業」に採択されました。信州大学、長野高専、岐阜大学と共同で22年度から3年間のシステム開発と実証実験に取り組み、社会実装を目指しています。
※データを送受信する際、信号を伝送に適した形態に変換(変調・復調)する部分
今後の事業展望
MBDを利用したSDR開発においては、最近5G関連の開発案件を幾つか受注しております。今後も5G、Beyond 5Gなどの最先端の無線通信の技術開発に取り組むとともに、こうした5G無線システムにはオープンソースのソフトウェアの応用も進めていきます。
AI自動鳥追い払いについては、プロモーションの結果、農業分野だけでなく、工業や水産業、畜産業、行政等さまざまな分野から大きな反響を頂いています。今後は、こうした分野に販路を持つパートナー企業へのライセンス提供などを通じて普及を図りたいと考えています。
産業調査
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